小選挙区制で死票が増えると政治への興味が失せる。中選挙区制の復活を検討する時期ではないか。

時々ニュースの種になる「シルバーデモクラシー」。そのたびに「若者の投票率がー」と返されますが、そもそも選挙のシステムが政治への興味をガッツリ削ぐものなのではないか、という話です。

死票が少ない中選挙区制の復活を検討するべき

  • 小選挙区制だと1選挙区から1人しか出ない。死票がどうしても増えてしまう。
  • 死票が多いと選挙が正しく民意を反映出来ていない状態になる。コレは大変よろしくない。
  • 小選挙区制よりも死票を少なくできる中選挙区制を復活させるべきではないか。

10人立候補して有効投票数の11%を獲得して当選。これがありうるのが小選挙区制の欠陥。

ご存じの方も多いかとは思いますが、小選挙区制では「死票」(棄権しても議席の配分や当落に影響を与えない票)がどうしても増えてしまいます。誰がどう見ても民意の多くを反映しているわけではない候補が当選することだって理論上ありうるのです。例えば、

  • ある選挙区で議員候補10名が立候補した。
  • 10名の議員候補の実力は拮抗している。全員にほぼ均等に票が割れた。
  • その選挙区は小選挙区制なので、当選できるのは1名のみ。
このような条件で選挙を行うと、例えば議員Aが有効投票数の11%の票を集め、残り9名が89%の票を均等にわけあった(1名あたり約9.9%)、という自体が起こりうるのです。当選するのは単独で得票率トップ(でも有効投票数の11%)の議員Aとなり、残り9名に投票した89%の人たちの意志は完全に切り捨てられます。誰がどこからどう見てもおかしい(実際にはここまでひどいことにはあまりならないと思いたい)ですが、それが小選挙区制の実態です。小選挙区制は欠陥制度です。

このような状態では、小選挙区制の議員選挙が世代間対立の代理戦争になった時に、現在の日本ではほぼ確実に若者代表が落ちます(絶対数・投票率共に老人が多いので)。よほど老人代表が掲げた政策がひどいものであるか、そうでなければきちんと将来世代のことを考えられる長老様が過半数を超えないかぎり、若者代表は確実に敗戦です。そして若者はますます政治への興味を失い、投票率が下がって叩かれる…理不尽です。

小選挙区制に移行して以来投票率が低迷している証拠として、総務省の国政選挙の投票率データがあります。こちらのデータによると、衆議院議員選挙において中選挙区制で選挙が行われた最後の年である平成5年(1993年)の投票率は(当時としてはかなりの低さですが)67.26%ありました。しかし小選挙区制に移行した平成8年(1996年)の投票率は早速当時の過去最低記録を叩きだして59.65%。しかし興味があればきちんと選挙に行くことは、平成21年(2009年)の投票率69.28%が証明していると思います。民主党が大躍進して歴史的な政権交代が起こった選挙には、小選挙区制という欠陥制度でもきちんと投票に行きました。衆議院議員選挙の投票率の変遷は↓

  • 平成5年(1993年) 中選挙区制最後の年 投票率67.26%
  • 平成8年(1996年) 小選挙区制導入 投票率59.65%
  • 平成21年(2009年) 歴史的な政権交代 投票率69.28%
  • 平成26年(2014年) 自民党が与党に復活 投票率52.66%

中選挙区制ならば死票は減らせる。政治に興味を持てれば選挙に行く。

小選挙区制は、とにかくその地区で沢山の票を集めた人が一人勝ちして、後の人たちの民意を容赦なく切り捨てる…というむちゃくちゃな制度です。ここはひとつ中選挙区制の復活を検討すべきではないでしょうか。中選挙区制ならば一つの選挙区から複数の候補が当選するので、小選挙区制よりも死票を減らすことができます。より多くの民意を反映することができる、と言えるでしょう。

国民がきちんと政治に興味を持てるような選挙システムでなければ、投票率が下がり、更に政治不信になります。目先の利益ばかり追求して長期的展望が崩れては政治的にはアウトです。1票の格差問題の解決と合わせて、中選挙区制の復活(あるいは中選挙区比例代表並立制への変更)を検討すべきではないのでしょうか。

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