人が集まればいじめが発生する可能性は常にある。「いじめゼロ」を目指そうとしても、発生したいじめを隠蔽してしまい、結局被害者が救済されないのが悩ましいところ。

学校などでは「いじめをなくそう」という目標が立てられることもありますが、「いじめゼロ」を目指したがためにいじめ被害者が救済されないという本末転倒な事態には陥らないようにしなければなりません。

「いじめ報告件数ゼロ」を目指してしまうと、事案が発生した時に「報告したら怒られるからマニュアルの解釈を変えるなりして報告せずに隠蔽しちゃおう」となりかねない。真にいじめ被害者を救済できる・いじめ被害者を出さないための対策を立てなければならない。

  • 「我が校はいじめ報告件数ゼロを目指す」なんてことになってしまったら、いじめ一歩手前の事態が発生がしたとき、「報告すると面倒だ。隠蔽しよう」ということになりかねない。もちろん本当にいじめ(という名の犯罪)が発生したときも隠蔽されてしまう。結局被害者は学校から見捨てられ、警察に被害届を出すしかなくなってしまう。
  • いじめ対策は、本来被害者を救済するために(被害者を出さないために)行われるはずだ。それなのにいじめを隠蔽し、被害者のためにならない方針を立てていては意味がない。「いじめゼロ」の方針は被害者を救うはずが逆に被害者を殺してしまうおそれがある。それだったら「いじめが起きたら例外なく警察に被害届を出し、加害者を出席停止にする」というマニュアルを配布したほうがまだ被害者を救済できる可能性が高いだろう。

小さなトラブルがあったらすぐに報告・対処できる環境を構築したほうが、大きなトラブルを防ぐには役立つ。「いじめ報告件数ゼロを目指す」という方針は、ハインリッヒの法則を真っ向から無視した愚かなものだと言わざるをえない。

この記事をお読みになっている皆様の中には、「ハインリッヒの法則」をご存じの方もいるかと思います。「1つの大事故の背景には29の小さな事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリ・ハット)がある」というやつです(ハインリッヒの法則(あらゆるジャンルの仕事で役立つ法則)なども参照)。この理屈で言えば、小さなトラブルがあった時、すぐに必要なところに報告して適切な対処を行えば、小さな事故(いじめ一歩手前の事案)を防ぎ、さらには大事故(いじめ(という名の犯罪))をも未然に防げることになります。いじめ被害者が出ないに越したことはありません。

しかしそのためには、小さなことでもきちんと報告・対処できるような環境を構築する必要があります。火事は火が小さいうちに消火しなければ、いずれ大きな火事になって多くの生命や財産が失われることになります。大火事を防ぐためには、火が小さいうちに初期消火に努め、無理そうならすぐに消防などに連絡して対処する必要があるわけです。それはいじめ(という名の犯罪)への対処でも変わりありません。トラブルがまだ小さいうちに解決を図り、無理そうなら警察に被害届を出して対処してもらうのです。

そして、「いじめゼロ」「いじめ報告件数ゼロ」を目指すという方針は、トラブルが小さいうちに対処することを妨げるおそれがある愚かなものです。そのような方針が定められてしまえば、「いじめが発生した」と報告した時に色々と面倒事が増えることは誰だって予想できます。先生方はいじめと思しきトラブルがあっても学校には報告せず、内密に対処することを要求されるわけです。しかし先生一人で出来ることには限界があり、被害者を救済できない可能性も出てきてしまいます。

結果として、いじめ被害者を出さないために定めたはずの「いじめゼロ」「いじめ報告件数ゼロ」を目指すという方針が、逆に被害者を苦しめてしまうのです。これでは救いようがありません。

いじめが発生してしまうのは構造的に仕方がない面もある。「いじめ報告件数ゼロ」などという無茶な方針ではなく、確実に被害者を救済できる対処マニュアルと人員が必要だ。

いじめ(という名の犯罪)被害者が出ないに越したことはありませんが、人が集まればどうしてもいじめ等の問題は発生してしまいます。日本の高校までの学校(特に小中学校)だと30~40人程度のクラス全員で朝から夕方まで同じ授業を受け続けるわけですから、どうしても人間関係から流動性が失われ、閉鎖的な環境の中でいじめに苦しむ人が出てきてしまいます。

高校になれば選択科目が増えて多少はマシになりますし、大学等に進学する前提なら高校に通わず、高卒認定試験に合格することで大学受験資格を得る道もあるので学校から撤退することさえ可能になります。それでもやはり、高校でもいじめが発生する可能性はあるので、いじめ対策は必要です(加害者を強制退学させることも理論上は可能なので小中学校よりはマシな対処ができるか?)。

いじめに対処するために必要なのは「いじめ報告件数ゼロ」などという無茶な方針ではなく、確実に被害者を救済できる対処マニュアルと人員です。被害者を確実に救済しながら教員の負担を抑えるためには、学校が治外法権を発揮して内密に済ませるのではなく、警察など外部の力を借りることも必要不可欠です。

対処法は様々ですが、被害者を救済する上で確実に有効なのはやはり、被害者と加害者を物理的に隔離してしまい、加害者を被害者に近づけさせないことです。高校ならば加害者を強制退学させることも選択肢に浮上しますし、小中学校でも加害者を出席停止にすることは出来ます。冤罪が発生するのはいけませんが、被害者を1秒でも早く安全地帯に救出して保護するためには、加害者を出席停止にするくらいのことは必要です。加害者の処罰や更生については、被害者を安全地帯に救出してから考えればいいことです。

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