給特法は本来なら「教員に残業代は出さないけど原則として定時で帰れる」という法律なのだが、実際の運用は「教員は残業しているが残業代が1銭も出ない」という状態。これはひどい

2016年現在、教員はいくら残業しても残業代が出ません。公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)により、「教員には残業代を支払わない」と定められたからです。しかし、給特法は本来、「教員に残業代は出さないけど原則として定時で帰れる」という法律です。

「原則として定時に帰れる」という前提が崩壊した結果、給特法は教員の労働環境を非人道的なレベルで悪化させる悪法になってしまった。残業代のキチンとした支払いも必要だが、定時に帰れる環境の構築こそ最も必要とされる。

  • 給特法は確かに残業代を支払わないことを定めるという負の側面もあるが、同時に「原則として残業禁止(=定時に帰れる)」と定めていたからこそバランスが取れていた。「定時に帰れる」という部分がキチンと守られてさえいれば、給特法は長時間労働問題を解決する存在となり得たかもしれない(違反する使用者が出なければ)。
  • だがしかし、「定時に帰れる」という大前提が崩壊してしまい、教員の労働環境は非人道的なレベルで悪化してしまった。そして残業代が出ない。こうして給特法はただの悪法に成り下がってしまった。まあ残業代さえ出せば問題解決というわけではないのだが。

給特法の一部が守られなかったことにより、教員を「定時にきちんと帰宅する労働者の模範」にするはずが、「無賃労働をたくさんしなければならないブラック企業の見本」にしてしまった。

給特法の正式名称は、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」です。あまりにも長いので単に給特法と呼ぶことにしますが、条文は公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法を御覧ください。この法律では、主に3つのことを定めています。

  • 教員には「教職調整額」という追加手当(給料の4%)を支払う。(給特法第三条)
  • 教員には残業代(時間外勤務手当・休日勤務手当)を支払わない。(給特法第三条第二項)
  • 教員には原則として残業を命じてはいけない。残業は政令で定める基準(超勤四項目)に従い条例で定める場合に限る。(給特法第六条)

給特法では、正規の残業代を支払わないことも定めています。しかしその代わりに、残業を原則禁止し、例外的な残業(超勤四項目…当ブログの過去記事教員の「超勤4項目」とはなんぞや?でもこれを知らないと教員の残業問題は語れないかも!?も参照)も考慮して「教職調整額」も支給することにより、それなりにバランスが取れていました。「きちんと定時に帰れる」という大前提が守られていれば、教員は「定時にきちんと帰宅する労働者の模範」になるはずでした。定時にきちんと帰宅する姿を子どもたちに示し、長時間労働問題を解決するための布石を打つはずでした…。まあどの道子どもたちは先生より先に帰るのですが。

しかし実際には、部活動や事務処理などで忙殺され、超勤四項目以外では教員に命じてはいけない残業を余儀なくされています(そのうち、部活動については「自主的に」指導する建前となっており、やりたくなければやらなくても法的には何の問題もありませんが、結局やらされることも多々有り…「部活問題」「部活問題対策プロジェクト」などのキーワードでググってください。)。

給特法のうち、「残業禁止」の部分は守られなくなってしまいました。その一方で、「残業代を出さない」の部分は律儀に守られ続けています。こうして教員の労働環境は非人道的なレベルで悪化しました。35連勤という人体実験 : 公立中学校 部活動の顧問制度は絶対に違法だ!!にもありますが、14連勤(2週間)あたりから身体が悲鳴を上げ始めたそうです。これでは「無賃労働をたくさんしなければならないブラック企業の見本」です。

最も、残業代さえ出せば(給特法を廃止すれば)この問題を解決できるのかといえば、そういうわけでもないでしょう。お金も確かに必要ですが、お金と同じくらいまたはそれ以上に「休み」が必要なのです。休むことは怠けではありません。健康に働き続けるためには欠かせない定期点検・メンテナンスなのです。

一人あたりの仕事の総量は、定時に帰れる範囲内に収めなければなりません。残業(週40時間を超える労働)は労働基準法で原則禁止されており、サブロク協定も「例外」に属するものなのですから。例外の常時発動は避けるべきです。無駄な仕事は減らす必要があります。また、「自主的に行う」という建前であるにもかかわらず、実際には強制されることが多々ある部活動関係の業務についても、見直す必要があるでしょう。いずれにせよ、定時にきちんと帰ることが出来る環境の構築が必要であると考えます。

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