「部活動の実績で入試の得点を上積みする」ことは、少なくとも一般入試では禁止するべきではないか。部活動の実績を内申書に書くことは禁止するべき。

2016年8月1日に、ブラック部活問題はNHKでも取り上げられました。その時の様子は「死ね!バカ!」これが指導? ~広がる“ブラック部活”~ – NHK クローズアップ現代+をご覧いただくとして、「部活動の実績で入試の得点を上積みする」ようなことは、少なくとも一般入試においては止めるべきだと考えます。部活動の実績を内申書に書くことも止めるべきです。

「部活動が入試に影響を与える」現在の状態のままでは、部活動は「生徒を支配する監獄」になりかねない。部活動は「生徒が自主的に行うもの」であり、「法的にはやらなくても全く問題ないもの」だというのに。

  • 部活動の学習指導要領での位置づけは、「生徒が自主的に行うもの」。すなわち、「法的にはやらなくても全く問題ないし、強制してはいけないもの」である。まずはこの大原則が全国どこでも遵守されなければならない。
  • が、部活動は入試に影響を与える部分もある(高校入試での事例はこちら)。どんなに影響が少なくても、「部活をやめたら入試に響く」とか言われてしまえば、「退部する自由」を行使することもままならないだろう。部活動が「生徒を支配する監獄」になってしまう。これではどうしようもない。
  • このような事態を防ぐためにも、「部活動の実績で入試の得点を上積みする」ようなことは、少なくとも一般入試においては禁止するべきである。内申書に部活動の実績を書くのも禁止するべきだ。誰も彼もが(部活動の実績を重視する)推薦入試やAO入試を受けるわけではないのだから。どうしてもというのならば、推薦やAOを受ける(部活動の実績についての書類がどうしても必要な)生徒にだけ特別に書類を作成すればいいだろう。全員分は要らない。

部活動が入試に影響を与える(ように見える)構造を破壊しなければ、部活動は「生徒を支配する監獄」となってしまう。

もう書くのも面倒くさくなってきましたが、部活動の学習指導要領での位置づけは、「生徒が自主的に行うもの」です。「自主的に行う」わけですから、「法的にはやらなくても全く問題ないもの」ですし、「法的根拠なしに強制してはいけないもの」と考えられます。学習指導要領は日本国内のどこでも有効ですから、日本全国どこの学校でも、「部活動は任意参加」の大原則が遵守されなければならないのです。

しかし、2016年現在、部活動は入試に対しても一定の影響力を持っているように見えます。実際、当ブログでも中学校の内申書が公立高校の一般入試に影響を与える構造になっていることを解説しています(その記事はこちら)。影響は確かに微々たるものかもしれませんし、一般入試なので3年間地獄の部活で我慢を続けるよりも、学力でゴリ押ししたほうが確実に合格できますが、それでも「部活が入試に影響を与えている」ように見えてしまう構造は、生徒に対して相当なプレッシャーを与えてしまうものです。

部活動のことが内申書に書かれる構造が維持される限り、「部活動が入試に影響を与える」という呪いから逃れることは出来ません。これにより、学校から生徒に対して有象無象の圧力が働きます。それは「お前ら絶対部活に入れよ無所属なんてクズだ」という圧力だったり、「転部退部する奴は忍耐力が身についていないケシカランやつだ」という空気だったりします。そして先生が「部活のことは内申書にも書くからな」の一言でとどめを刺しに来ます。こんなことが続いてしまっては、いくら法的に「部活動に入らない自由」や「転部退部する自由」を保障しても、同調圧力と慣習が法を無力化してしまいます。まさに監獄。

本来ならば部活動そのものを学校から切り離す(現行の部活動システムを完全廃止する)べきだと考えますが、せめて部活動と内申書の二つは切り離さなければなりません。「部活動に入らない自由」や「転部・退部する自由」を保障するためでもありますし、後述するように先生の事務作業の負担を軽減するためでもあります。

内申書に部活動のことを記載することを一切禁止するべきだ。先生の事務作業の負担も減らせるし、生徒も部活動という名の監獄から解放される。

部活動が「生徒を支配する監獄」にならないようにするためにも、内申書に部活動のことを記載することは一切禁止し、少なくとも一般入試で部活動を評価の対象としたり、活動実績で加点したりするようなことも禁止するべきです。部活動と内申書(入試)は切り離されるべきなのです。そうすれば、生徒にとっては内申書のことを気にせず好きな部活をすることが出来ますし、部活をやらないという選択もしやすくなります。先生にとっても、内申書に書かなければならないことが一つ減るわけですから、事務作業の負担軽減になります。

推薦入試やAO入試など、学力(テストの得点・内申書の5段階評定の点数)以外の要素で合格判定を行う入試形態では、部活動の実績を提出する必要があるのかもしれません。ボランティア活動や資格取得、その他諸々の学校外活動と同様の基準と方法で部活動の活動実績を評価し、それによって合否判定をしたいという学校もあるかもしれませんし、それは一概に否定できるものでもないかもしれません。

しかしそれにしても、まさか受験生の全員が推薦入試やAO入試にチャレンジするわけでもないでしょう。推薦やAOでも部活動以外のなにか実績を武器に戦う生徒もいるでしょうから、部活動の活動実績を使って入試に臨む生徒は、全体で見ればごく一部に過ぎません。よって、部活動の活動実績に関する書類を在籍する生徒全員分作成する必要性などどこにもありません。推薦入試やAO入試などでどうしても必要な生徒にだけ特別に部活動の活動実績に関する書類を作成すればいいだけの話です。内申書に部活動のことを記載する必要はどこにもありません。部活動と内申書のつながりが生徒に無用なプレッシャーを与え、自由を制限している現状を考えれば、内申書に部活動のことを記載することは禁止されるべきです。

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