自分が困窮しないためには、他人を助けることを放棄せざるを得なくなるのが現実であり、これが難民移民の排斥につながってしまう。自分の生活と他人への配慮の板挟みになって悩む人は少なくないと思う。

やってくる難民や移民などと共存はしたいが、それで自分の生活が脅かされるようでは困る…と考える人は、決して少なくはないと思います。高い経済成長が望めない今、自分の生活を守るためには難民や移民を排除し、彼らに分けるパイを制限するしかなくなり、自分の生活と他人への配慮の板挟みになって悩み、自分の生活を守るためにやむを得ず難民や移民を排斥する人がいないとは言い切れないでしょう。

自分の生活を守りながら他人を受け入れていくにはどうすれば良いのか―― この問いへの解が示されない限り、難民や移民に関する問題を解決することは出来ないかもしれない。

  • 経済というパイが拡大を続けていれば、難民や移民などの他人に分け与えるだけの余裕が生まれる。経済成長が続き、パイを分け与えても自分の生活を守れるのであれば、心優しい人は他人にもパイを分け与えるだろう。難民や移民が少なければ、経済成長が鈍化してもまだパイを分け与える余裕もあったかもしれない。
  • しかし現在は高い経済成長が望めなくなり、パイの拡大が停止した(むしろ縮み始めた?)ところに難民や移民がわんさかやってきて、「俺にもそのパイを分けてくれ」と言い出した状態。やってきた他人にパイを分け与えていたら、自分の生活が危うくなるレベルで他人が押し寄せてきたし、パイの拡大も停止した。心優しい人といえども自分の生活を犠牲にする訳にはいかない。家族を養わなければならない人だっている。きちんと主張して自分のパイを確保できなければ、自分と家族の生活が破綻してしまう。
  • かくして自分の生活と他人への配慮で板挟みになり、悩んだ末に自分の生活を守るため、やむを得ず難民や移民を排斥する(数を制限する)ことを主張したり、(消極的に)難民移民の排斥を主張する「極右政党」とカテゴライズされる政党を支持する人もいるのではないか。自分の生活を守りながら他人を受け入れていくにはどうすれば良いのか―― 難しい問題だが、この問いに対する何らかの解が示されない限り、難民移民を排斥しようとする動きを止めることはできないかもしれない。

経済というパイが拡大を続けていれば他人に分け与える余裕もあるが、経済が停滞している現在、自分のパイを他人に分けたら自分の生活が危うくなるかもしれない。いくらなんでも好き好んで自分の生活を破滅に導くことが出来る人はそうそういないだろう。

経済成長が続き、経済というパイが拡大し続けていれば、パイを他人(難民や移民など)に分け与える余裕も生まれます。パイをある程度他人に分け与えても、自分の生活が破綻することはない状態です。この状態が続き、なおかつ難民や移民の数がある程度限られているうちならば、心優しい人は難民や移民にパイを分け与えることが出来ます。経済成長の勢いがあれば難民や移民がある程度増えても受け入れる余裕が有るかもしれませんし、経済成長が鈍化しても難民や移民の数が少なければ、自分の生活を維持しながらでも難民や移民に行き渡るだけのパイを分け与えることも出来たかもしれません。

…しかし、現在は経済が停滞しています。日本でも景気が良くなっていることを実感できている人はどれくらいいるのでしょうか。欧州にしても、ニュースの種になることは減ったもののギリシャの債務問題は相変わらず残っていますし、経済が特別好調なわけでもなさそうです。中国とて最近は経済成長が鈍化しています。そして、シリア騒乱などの影響もあって難民は増えていますし、経済的目的での移民も増えています。

世界経済は厳しく、国民経済の急成長は期待できなくなってきた。国民経済のパイの大きさは変わらないが、そのパイを要求して難民・移民たちが殺到してきた。そこで「俺たちのパイだ」という叫びがファーストだ。

欧州で広がる“ファーストの事情” – アゴラ

経済成長が鈍化し、国家財政も行き詰まりを迎え、いよいよ自国民向けの社会保障などのサービス(国民に分け与えるパイ)を削減しなければならなくなったところに、難民や移民などの「よそ者」がわんさか押し寄せ、「俺にもそのパイを分けてくれ」と主張し始めました。彼らの主張通りにパイを分け与えるためには、自国民向けのサービスを更に切り詰めることになります。当然ながら自国民の中には生活が困窮する人が出てくるでしょう。そこで「難民移民を排除すべし」という主張が生まれます。

いかに心優しい人といえど、自分の生活が破滅してしまってはどうしようもありません。家族を養わなければならない人もいれば、子供を学校に行かせる人だっています。あるいは家族旅行をするために仕事をする人だっているかもしれません。難民など「よそ者」と共存したいと願う一方で、自分と家族の生活を守る必要性もあります。まさか自分の生活を破滅に導くわけには行きませんし、家族に対して「よそ者のために家を競売にかけられて餓死しろ」とは言えないでしょう。

自分の生活を守るために、よそ者を排除する考え方を(消極的に)支持することを選択する人もいるだろう。彼らの生活を守りながらよそ者にも一定の配慮と支援ができる落とし所を見つけられない限り、難民移民の排斥を止めることは難しいかもしれない。

2016年6月現在、欧州では極右政党が躍進し、アメリカでもトランプ氏が過激な発言もあってか人気を集めています。彼らを支持する人の中には、ガチで「難民移民は来るな!」と考えている人もいるのかもしれません。その一方で、「難民や移民もできれば受け入れてあげたいけど、自国の経済情勢ではそれは難しいし、無理やりそれをやって自分の生活が守れなくなっても困るから、ホントは支持したくないけど生活のためには難民移民の排斥を掲げる極右政党を支持するしかないかなあ…」という人も、いないわけではないと考えます。

難民や移民の受け入れはそう簡単に答えを出せる問題ではありませんが、なんとかして自国民の生活を守りながら難民や移民を受け入れていけるようにするための政策が必要です。難民や移民を受け入れるために自国民の生活を破滅させるような政策を掲げてしまえば、思い悩んだ末に消極的に極右政党を支持することを選択する人がますます増え、難民や移民を排斥する動きもますます激化する恐れがあります。「難民や移民も受け入れてあげたいが、自分の生活もきちんと守りたい」人に対して何らかの答えを示すことが出来ない限り、難民や移民を排斥する動きを止めることは難しいのではないかと考えます。

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