確かに法的には自力救済は禁止されている。しかしそれは、訴えがあった全ての万引き・窃盗等の案件についてきちんと警察が介入し、被害を回復することが前提となるのではないか。

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時々世間を賑わすのが、「万引き容疑者の顔写真公開」問題です。これまでは店側が万引き容疑者の顔写真を公開する度に警察当局が公開中止を要求しています。この対応は法的には正しいと言えるでしょう。しかし、それは全ての万引き犯についてきちんと捜査が行われ、店の被害が回復されていることが前提となるのではないでしょうか。

もくじ

  • 「自力救済の禁止」が成り立つためには、窃盗等のすべての案件について司法が介入し、被害がきちんと回復されることが必要となる
  • 冤罪を防ぐことが大前提だが、被害者が泣き寝入りせずに済むようにはしなければならない

「自力救済の禁止」が成り立つためには、窃盗等のすべての案件について司法が介入し、被害がきちんと回復されることが必要となる

少なくとも現代では、自力救済(権利を侵害された人が司法を介さずに実力で権利回復を図ること 例:自転車を盗まれた人が犯人から自転車を奪い返す行為)は原則禁止されています。自力救済を無制限に認めてしまえば、力こそ正義ということになってしまい、権利回復の手段として暴力団などが利用され、社会がめちゃくちゃになってしまいます。現代は自力救済を禁止し、権利回復は司法によって行われることになっています。

そのため、万引き(窃盗)容疑者のモザイク無し顔写真を公開(しようと)する店に対して警察当局が「画像公開をやめよ」と待ったをかけるのは、法的には正しいです。また、「疑わしきは罰せず」の大原則も忘れてはなりません。冤罪の可能性を否定できず、画像公開が容疑者の名誉毀損などに繋がる可能性があるからには、警察としても画像公開を止めさせなければならない、ということになるのでしょう。

…ただ、「自力救済の禁止」を行うからには、自力救済をしなければならない場面を根絶しなければなりません。つまり、それこそうまい棒1本(被害額10円+消費税)、チロルチョコ1個(被害額20円/10円)盗まれたレベルの事案でもきちんと警察が出動して犯人を特定し、犯人に店側の被害額全て(盗んだ品物の代金+被害届提出、取り調べetc.で店側が強いられた時間・手間に関する賠償)を(刑務所で強制労働させてでも)賠償させる必要がある、ということになります。そんなの無茶苦茶だ、と思われるかもしれませんが、自力救済の禁止を掲げるからには、司法・国家(救済代行者)は絶対に被害者を泣き寝入りさせてはならない、ということです。

しかし実際には、万引きがあっても警察に被害届を出すことさえしない場合も相当数あると見られます。被害届を出し、仮に商品の代金を回収できたとしても、被害届を出す地点で最低1人の店員が交番に出向いて被害届を書き、店に戻ってくるまでの時間分の給料+諸経費が損失となります。取り調べで拘束される店員の給料+諸経費なども回収できなければ真に被害回復が達成されたとは言えません。

また届け出をしても警察がちゃんと動くことが保障されているわけではない、という問題もあります。司法・国家による被害の完全な回復が保障されていないにも関わらず「自力救済の禁止」原則だけを振りかざされたとあっては、店側が万引き容疑者の顔写真公開に走るのも(法的問題はともかくとして)致し方なし、ということになります。

冤罪を防ぐことが大前提だが、被害者が泣き寝入りせずに済むようにはしなければならない

もちろん冤罪は絶対に防がねばなりません。免田事件のように無実の人が長期間自由を奪われるような悲劇は、絶対にあってはならないものです。「疑わしきは罰せず」の大原則を崩すことは許されません。しかし、被害者に泣き寝入りを強いることもまた許されることではありません。被害者の権利回復については確実に達成されるべきなのです。

そのためには、少なくとも被害届が出されたすべての事案について、警察はきちんと捜査を行う必要があります。いつぞやのいじめ事件のときのように被害届を握り潰すようなことは決して許されませんし、被害届を受理するだけで捜査はしない、ということも許されません。権利回復を司法(国家)に委ねることを原則とするからには、司法(国家)は極限までベストを尽くす義務があります。それこそ先に例示したうまい棒盗難事件(被害額10円+消費税)についても徹底的に捜査して犯人を捕らえ、被害回復を確実に行わねばならない、ということです。…ここまでは原則論。

但し、場合によっては条件付きで自力救済を認めるという手もあるのかもしれません。例えばうまい棒盗難事件(被害額10円+消費税)の場合、店側の証拠写真で確実に「こいつが犯人だ」と分かる(冤罪の恐れがない)場合は、警察の許可のもとに店が写真公開を行うのはアリではないか、と思います。あるいは警察のWEBサイト等で「写真手配犯」として店が持っている容疑者の顔写真をまとめて公開するという手もあるでしょう。そのへんは多少柔軟に運用してもよいのではないかと思います。また、万引き犯に対して盗品の代金に加え、万引きによって店員を拘束したことによる損失額(店員の給料+諸経費)全てを請求することも認められなければなりません。

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