組体操問題は文部科学省が自ら終止符を打つか!?馳文部科学大臣が「組体操の中止」を検討

日本の学校の運動会では、組体操が花型として、長きにわたって続けられてきました。しかし、組体操では本番でも練習でも事故が多発。【緊急提言】組体操は,やめたほうがよい。子どものためにも,そして先生のためにも。▽組体操リスク(1)(内田良) – 個人 – Yahoo!ニュースなどに代表されるように、組体操は中止すべきという声は以前から上がってきましたが、ついに文部科学大臣が「組体操の中止を検討する」という趣旨の発言をしたようです。馳浩文科相 運動会での「組体操」中止に前向きな考えを表明 – ライブドアニュース

学習指導要領には、組体操を実施せよとは一言も書かれていない。そこに感動があっても、長きに渡る伝統があると言っても、聖域なき見直しが必要なことは多い。

  • 組体操を実施せよと学習指導要領には書かれていない。完全に慣習だけで継続されている種目。危険な事故はこれまでにもあったのに、なぜかしぶとく継続され、なかなか廃止されない謎競技。完全自由参加ならまだしも、学校に所属する限り強制参加なところが非常によろしくない。
  • 組体操の種目「ピラミッド」は、一人で四人分の体重を支えたり、命綱も安全な足場も無しで2メートル以上の高さに登ったり(労働安全衛生規則では、高さ2メートル以上の場所で作業するときは、足場や命綱などで作業員の安全を守らなければならないことになっている)。なんということでしょう。危険なことは馬鹿でもわかる。なぜ続けるのだ。頭が狂っている。
  • 伝統や慣習は、ある種の思考停止ワード。伝統(慣習)だから維持しなければならないという意見が出てきてしまう。しかし、伝統でも慣習でも危険なものは危険だし、法律違反なものは法律違反だ。聖域なき見直しが必要なのではないか。伝統も慣習も。その意味で、今回の文部科学大臣の発言はもっと評価されるべき。

労働安全衛生規則では、高さ2メートル以上の場所での作業を行うときには足場の構築や命綱の着用などの安全対策を施すことになっている。…組体操のピラミッドは足場も命綱もないのに余裕で2メートル超えてないか!?

労働安全衛生規則 第9章 墜落、飛来崩壊等による危険の防止|安全衛生情報センター には、

第五百十八条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
という条文があります。高さ2メートル以上の場所で作業するならば、きちんと足場を構築するなり命綱をつけるなりして安全対策をキチンと行いなさいってことです。高いところから落ちたら大変なことになるのは誰だってわかるでしょう。…大人だって高所作業をするときには安全な足場や命綱に頼ります。しかし、組体操を行うのは、大抵の場合は大人よりも身体能力で劣る子供です。高所作業では安全対策をキチンと行わなければならないのは、大人も子供も同じですね。

話を組体操に戻しましょう。組体操の種目には、「ピラミッド」だの「タワー」だのがありますが、どちらも大きなものだと、最上部は高さ2メートルを軽々と超えます。しかし、組体操を行う子どもたちが命綱を付けて練習しているなんて見たことも聞いたこともありません。組体操を行うときに建築現場にあるような金属製の足場を見かけたこともありません。墜落時に怪我しないようにするための安全ネットも見当たりません。…あれ?大人でも高さ2メートル以上の作業では命綱をつけるのではなかったか?ましてや組体操やってるのは子供だぞ?安全対策は大人よりももっと手厚くしなければならないはずだぞ?なのに安全対策グッズがどこにも見当たらないではないか。組体操に安全対策なんてどこにも見当たらないぞ!!

はい、これでもうおわかりでしょう。組体操のピラミッドやタワーは、明らかに労働安全衛生規則に違反しています。また、これまで最上部付近の危険性について説明してきましたが、土台となる生徒に掛かる負荷も相当なものです。組体操を中止できないダメ大人の背中にこれを乗せよう(写真付提案) – みやきち日記←組体操で土台の生徒に掛かる負荷については、こちらのサイト様がわかりやすく解説されています。それによると、日本の成人男性が組体操をやったら、平面5段ピラミッドの土台の人は、220kgの負荷がかかるようです。立体型10段ピラミッドだと275kg。なお、この数値は一人の体重を70.5kgとした場合のものらしいです。

なお、組体操を中止できないダメ大人の背中にこれを乗せよう(写真付提案) – みやきち日記を見ていただければわかりますが、重さの数値だけ見せられてもピンと来ない人のために、同程度の重さのものの写真が載せられています。平面5段ピラミッドだと、背中に耐火金庫(Amazon | 耐火金庫(100万変換ダイヤル錠+電子ロック錠)片開きタイプ(220kg) KCJ KCJ51-2D | 金庫 220kg)を乗せるらしいです。立体型10段ピラミッドだと物置(Amazon.co.jp: マツモト物置 MA-2614 (オズシルバー): DIY・工具 275kg)を背中に乗せなければならないのだそう。絶対耐えられませんよねコレ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

組体操中止の方針は正しい。慣習に負けずに今回の発言ができた馳浩文部科学大臣はもっと評価されるべき!!

これだけの危険性がありながら、何故か続けられてきた組体操。「組体操は感動を生み出す」だの「多少の怪我は仕方ない」だのといった、組体操の危険性をガン無視して組体操の継続を要求する声と長きにわたって続いた慣習に押し負け、中止したくても中止の決断を下せないところはあると思います。慣習治国家な日本ではこうなってしまうのもやむを得ない側面もありますが、やはり慣習や伝統も、見直すべき時は聖域なき見直しが必要になります。

そして、春の運動会シーズンを迎える前に、今回の文部科学大臣の「組体操の中止を検討する」発言です。これは、慣習の支配から脱し、危険極まりない組体操の継続に待ったをかけ、生徒の安全を守る上で重要な発言だと思います。最近の内閣にはいろいろと思うところもありますが、今回の文部科学大臣の発言については、もっと評価されていいと思います。そして、この調子で、文部科学大臣が「部活動の加入強制を今すぐ廃止せよ」と言ってくれれば、長きに渡った部活問題の解決は大きく前進するだろうに、とも思います。ともあれ、組体操問題については、文部科学省自ら終止符を打つ日は近いかもしれません。

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