ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは内部構造が違う。だからガソリンで走る車に軽油を入れると故障する。逆もまた然り。

少しずつ2016年の終わりも近づき、車も冬への備えが必要な時期がやってきました。さて、ごくごく当たり前のことですが、ガソリンで走る車に軽油を入れたら故障します。逆もまた然りです。何せエンジンの内部構造が違うのですから。

もくじ

  • ガソリンと軽油は異なる特性を持つ。この2つの燃料は引火点と発火点が大きく異なる。
  • ガソリンエンジンとディーゼルエンジンは、それぞれが使用する燃料に最適化されている。違う燃料を入れたら故障しても仕方ない。

ガソリンと軽油は異なる特性を持つ。この2つの燃料は引火点と発火点が大きく異なる。

当たり前ではありますが、「ガソリン」と「軽油」は異なる性質を持ちます。どちらも石油(原油)を精製して作られますが、引火点(点火源(火花など)を近づけた時に着火して燃焼する最低の温度)と発火点(点火源がなくても空気中で勝手に燃えだす最低の温度)が異なります。石油ストーブの燃料としておなじみの灯油と合わせて、引火点と発火点を確認してみましょう。

物質 引火点 発火点
ガソリン -43以下 300
軽油 40~70 250
灯油 40~60 255
(引火点・発火点の単位はいずれもセ氏温度(℃))

この表から分かる通り、ガソリンは-40℃の極寒の地においても火を近づければ燃えるのです。一方で、軽油や灯油は40℃くらいまで温度を上げないと火を付けても燃えません。ちなみに、消防法でガソリンは「危険物第4類第一石油類」(引火点21℃未満・指定数量200L)に、軽油と灯油は「危険物第4類第二石油類」(引火点21℃以上70℃未満・指定数量1000L)に指定されています。その辺のことは危険物取扱者資格を取得する時に嫌でも勉強することになります。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンは、それぞれが使用する燃料に最適化されている。違う燃料を入れたら故障しても仕方ない。

ガソリンカーとディーゼルカーはそれぞれ異なる燃料で走りますから、当然エンジンも使用する燃料に最適化されたものになります。自動車用ならガソリンエンジンもディーゼルエンジンも大体はレシプロ4サイクル(燃料を燃やしてピストンを往復運動させ、回転運動に変換する)ですが、燃料(ガソリンor軽油)を燃焼させる原理は違います。

ガソリンエンジンの場合は、「混合気」(空気と燃料を混ぜた気体)をエンジンに吸い込み、混合気が圧縮されて温度が上がります。しかし温度が上がってもガソリンの発火点には達しないので、エンジンが装備している点火プラグから火花をちらして混合気に着火し燃焼させます。一方、ディーゼルエンジンの場合は「空気」をエンジンに吸い込み、空気が圧縮されて温度が上がったところに軽油を直接噴射します。この時の空気は軽油の発火点以上の温度になっているので、軽油は勝手に燃焼します。…文字だけではイメージしにくいので参考リンクも見てください。

ともあれ、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンはそれぞれ本来使用する燃料に最適化されているので、ユーザーが自動車に本来とは異なる種類の燃料を入れてしまったら、エンジンには本来想定されていない燃料が行くことになります。もちろん本来の性能を発揮することは出来ませんし、最悪の場合は故障する恐れもあります。自動車に燃料を入れるときは、絶対に種類を間違えないようにしなければなりません。

参考リンク

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