ブラック企業を駆逐するためには、定期的に社長などに対して労働基準法の試験を受けさせ、管理職免許を取らせるという手もあるのではないか。
投稿日:2017年03月03日
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もくじ
- 経営者や管理職は人一人の生命を左右しうる立場。ならば免許制にしても問題はないはずだ。
- 経営者・管理職を免許制にすれば、労基法の知識がない人が上司や社長になることはなくなる。それはブラック企業の駆逐に役立つはずだ。
- 補足:経営者・管理職免許について
経営者や管理職は人の生命を左右しうる立場。ならば免許制にしても問題はないはずだ。
会社の経営者や管理職は、社員(とその家族)の生命を左右しうる立場であると言っても過言ではありません。社長の権限を持ってすれば社員のクビを切ることもできるはずですし、管理職の権限があれば特定の社員に仕事を集中させて過労死に追い込むことも出来るはずです。そして社員を解雇するか殺すかすれば、その社員の家族が困窮する可能性は十分にあります。
このように人命を左右しうる立場が経営者・管理職という役職ですが、現行の制度では経営者・管理職に就任する時に資格を求められることはありません。社内で昇進すれば管理職になれますし、起業すればその日から経営者になれます。
ただ、就任する時に何の資格も求められないということは、労働基準法などの知識を持ち合わせていない人間が経営者や管理職になる可能性を排除できないということになります。しかしそれでは、労働基準法のロの字も知らない管理職が部下に労基法違反な働き方を強いる恐れがあります。これではブラック企業はなくなりません。
人命を左右しうる立場になる以上、最低限の知識は国の制度で強制的に注入するべきです。自動車の運転も最悪の場合は人が死ぬことがある危険な行為ですが、こちらはきちんと免許制度が整備され、免許を取らなければハンドルは握れないシステムになっています。経営者・管理職も最悪の場合は人を殺せてしまうという点では自動車の運転と共通していますから、経営者・管理職になるときには経営者・管理職免許の取得を義務付けることには何の問題もないはずです。
経営者・管理職を免許制にすれば、労基法の知識がない人が上司や社長になることはなくなる。それはブラック企業の駆逐に役立つはずだ。
経営者・管理職になる時に免許の取得を義務付けてしまえば、経営者・管理職になる上で最低限必要な知識も持ち合わせていない人は免許試験で落とすことが出来るようになります。労基法の知識がない人を免許試験で落とすようにすれば、少なくとも「労基法を知らなかった」ことによる労基法違反は確実に減らせますし、労基法違反の罰則を「免許剥奪及び免許再取得禁止」にしてしまえば、経営者・管理職による労基法違反を強く牽制できます。
自動車免許のように経営者・管理職免許も更新制にすれば、労基法の知識が抜け落ちた人を退場させることもできますし、労基法を忘れた管理職にもう一度労基法を学ぶきっかけを与えることもできます。国の制度で経営者・管理職の質を担保するようにすれば、労働者が労基法のロの字も知らない無能な経営者・管理職に苦しめられることは確実に減り、労基法違反を行った経営者・管理職は退場させられるのでブラック企業の駆逐にもつながります。ブラック企業を根こそぎ焼却するための「経営者・管理職免許」。厚生労働省・経済産業省などのエリート官僚の皆様、労働基準監督署でブラック企業と日々戦うブラック企業駆逐戦士の皆様、いかがでしょうか。
補足:経営者・管理職免許について
- 経営者・管理職免許(以下「免許」と呼ぶ)を所持しない者は、
- 経営者(部下が1人もいない場合を除く)
- 管理監督者(部下が1人もいない場合を除く)
- 管理監督者ではないが部下を持つ役職
- 免許は甲種と乙種に別れる。
- 甲種免許…経営者および管理監督者の場合はこちら。試験では労働法規全般の知識及び現実の事例への適用力を問い、労働基準法についても乙種試験より深く問う。
- 乙種免許…経営者および管理監督者以外で部下を持つ場合はこちら。試験では主に労働基準法の知識及び現実の事例への適用力を問う。
- 免許の有効期限は3年。更新時は講習を受ける必要がある。最後に受験した日から5年以上経過後の更新時には再試験に合格する必要がある。再試験に合格しなかった場合は免許失効。
- 労基法等に違反した場合は、違反者の免許にペナルティを加える。
- 軽微な違反(初回のみ)…免許の有効期限を1年間短縮
- 中程度の違反(2回まで)・軽微な違反(再犯)…即時免許失効(再取得規制はなし)
- 重度の違反・中程度の違反(3回以上)…即時免許失効+5年間の再取得禁止
- 同じ会社から10年以内に2回以上免許失効相当の労基法等違反が発生した場合は、違反者本人と違反発生時の会社経営者両方の免許を失効させ、再取得禁止期間を1年追加する。
- 労基法等に違反した人の氏名は公開する。違反した人が違反時に所属していた企業名も公開する。また、違反者・違反企業名については違反日から10年の間、国が作成するブラックリストに掲載する。違反内容が特に悪質である場合は、ブラックリスト掲載期間を延長することも出来る。
- 労働法違反ブラックリストに掲載された企業については、その旨を求人広告などに分かりやすい形で示さなければならない。