カテゴリ:現代社会へ思うこと
投稿日:2016年08月02日
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仕事における「休憩時間」や「待機時間」について考えていきます。会社の指揮命令下に置かれていれば、「待機時間」も「労働時間」になるので、きちんと給料が支払われる必要があります。
待機時間でも電話番や緊急時の対応などを義務付けられていれば、その待機時間は(たとえ電話も緊急対応も何もなくても)すべて「労働時間」になり、給料が支払われる。「休憩時間だけど電話がかかってきたら出ろよ」という指示は労基法違反。
- 労働者が会社の指揮命令下に置かれている時間が労働時間になる。待機時間でも電話番や緊急時の対応を義務付けられていたり、外出が禁止されていたりする場合は、その待機時間は「労働時間」になる(が会社の指揮命令下に置かれていると考えられるため)。つまりきちんと給料が支払われなければならない。
- 「休憩時間」は、労働者が会社の指揮命令下に置かれない(会社から解放される)時間のこと。電話番も緊急対応もしなくていい時間だ。外出したって良いし、睡眠をとっても良い。労働者が労働から完全に解放される時間が「休憩時間」。だから、「休憩時間だけど電話がかかってきたら出ろよ」という指示は労働基準法に違反している。電話番をさせてる地点で休憩時間とはいえなくなってしまう。
- 待機時間の中に働いていない時間があっても、電話番や緊急対応などを義務付ければ、労働者は仕事から完全に解放されているわけではない。電話はいつかかってくるか分からないし、緊急事態もいつ発生するかわからない。いつ発生するとも分からない緊急案件への対応が義務付けられている地点で、こういう待機時間は休憩時間にはならない。たとえ緊急案件が1件もなかったとしても、待機時間の給料を支払うのは使用者の義務となる。
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投稿者名:
Koguma
投稿日:2016年08月01日
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2016年7月27日、文部科学省は、教員が部活動の指導に従事した時に支給される「部活手当」を、来年度から2割増額することを決定しました。しかし、文部科学省のこの対応は、部活問題を解決に導くものではありません。むしろ部活問題をより深刻にしてしまう可能性すら秘めている無茶苦茶な対応と言わざるをえないでしょう。
部活手当を増やしたところで休日が保障されるわけではない。おまけに部活手当は1分単位で支給されるものでもない。部活手当の増額を考えた人は頭が腐っているのだろうか。
- 教員が休日に部活動の指導に4時間以上従事した時、3000円の部活手当が支給される。2割増額されたら3600円。…だがこの手当は、4時間以上部活動をしないと支給されない(3時間部活をしても手当は0円)。おまけに部活をやった時間に応じて増額されることもない(8時間やっても12時間やっても3000円(3600円)のまま)。代休を貰えるわけでもない。
- そして、部活動はあくまでも「教員が自主的に指導している」という扱い(つまり法的にはやらなくても全く問題ないし、強制するのはもってのほか)。だが実際には、全員顧問制を敷かれていることも多く、やりたくなくても部活をすることを強制される教員は少なくない。そして、やりたくもない部活で休日が潰れる。文部科学省は何を考えているのだろうか。
- 今回文部科学省がしなければならなかった対応は、「すべての教員に部活動顧問の拒否権を与え、全国どこの学校でも必ず拒否権を行使できるようにすること」「すべての教員と生徒に週1日(できれば週2日)以上の完全休日を保障すること」「給特法を廃止し、教員にも1分単位で残業代を支給すること」「部活問題を完全かつ永久に解決すること」だ。部活手当を増額しても、休日は保障されないし部活動顧問の拒否権も保障されない。部活問題もそのままだ。いくらなんでもこれはひどい
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投稿者名:
Koguma
投稿日:2016年07月30日
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さて、2016年7月26日、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は最低賃金を全国平均で時給24円引き上げ、822円とする目安を示しました。最低賃金が現在の決め方になった2002年度以降では最大の上げ幅です。最低賃金が上がることについては、ある程度評価できます。しかし、時給822円は生活賃金とは言い難い低さです。最低賃金は生活賃金であらねばならないのです。
最低賃金で週40時間労働した時に貰える賃金できちんとした生活が成り立たなければ、最低賃金は生活賃金たる条件を満たさない。
- 時給822円で週40時間×4週間(1ヶ月)働いた時の月額賃金は13万1520円。実際にはここから税金や社会保険料が差し引かれるから手取りはもっと少なくなる。これで生活しろというのはなかなか厳しい物があるだろう。いくらなんでも時給822円を生活賃金と言い張るには無理がある。
- 労働基準法には、「労働条件は労働者が人間らしい生活を営めるものでなければならない」という趣旨の条文がある。また、労働基準法には「最低賃金は最低賃金法によって定める」と書かれているが、賃金は労働条件の一部なのだから、最低賃金も労働者が人間らしい生活を営める額である必要があるはずだ。
- 最低賃金で働いた時に貰える賃金で人間らしい生活を営むことが出来なければ、最低賃金が労働基準法に違反しているとも考えられてしまう。最低賃金は、労働者が人間らしい生活を営むことが出来る「生活賃金」であらねばならない。
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投稿者名:
Koguma
投稿日:2016年07月29日
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各種社内イベントは、「みんなで楽しいことをすれば社員の士気も上がるだろう」という発想のもとで行われているのかもしれません。しかし、そのようなイベントで社員に休日を返上させたり、イベント参加時間について給料を支払わない場合は、そのイベントには意味がありません。金と時間と休日の無駄遣いです。
会社の社員は気の合うメンバーばかりではない。「こいつは気に食わねえ」と思う上司・同僚・部下だっている。休日返上で気に食わねえメンツと顔を突き合わせて「さあ楽しめ」と言ったところで、どこをどうすれば楽しめるというのだろうか。
- 各種社内イベントは「みんなで楽しいことをして社員の士気を上げよう」という意図で行われているのかもしれない。しかし、会社にはどうしたって「こいつは気に食わねえな」と思うメンツがいる場合がある。気の合う友人同士で楽しいことをするならばとても楽しい。だが、気に食わないメンツが顔を突き合わせて楽しいことをしたところで、楽しめという方に無理がある。
- 気に食わないメンツと何かするにしても、きちんとした給料が出るならばまだ我慢のしようがある。だが、このような社内イベントは休日を潰して行われる場合がある。給料が出ない上に休日まで消し飛ぶ。極悪非道としか言いようが無い。休日返上でのレクリエーションを企画する(ことを命じる)人は頭が狂っている。
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投稿者名:
Koguma
投稿日:2016年07月28日
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日本には「破られる原則」がそれなりにあるのではないかと思うことがあります。例外を常時発動するのは流石にいかがなものかと思います。
例外はあくまでも「どうしようもない緊急事態に対処するための一時的なもの」だ。平時においては原則は守られなければならない。24時間365日いつでも有事というわけではないはずだから。
- 一般的に適用される基本的なルールが「原則」。原則があれば例外もある。だが、例外はあくまでも「どうしようもない緊急事態に対処するための一時的なもの」。平時は曲がりなりにも法律を守るが、大災害などでどうしようもない時だけ超法規的措置がとられることもある。超法規的措置は紛れもない「例外」だ。
- だがしかし、日本には「常時発動している例外(常時破られる原則)」がある。例えば、労働基準法第32条は週40時間を超えての労働を禁止している。だが、実際にはサブロク協定を締結して(あるいは締結しないまま)社員に残業をさせている会社がある。残業はまさに「例外」。曲がりなりにも法律に則って認められている例外だから超法規的措置とは言わないが、労働者を守る最後の砦と言える労働基準法の規定を無力化してしまっている点においては超法規的措置に限りなく近い。
- 他にも赤字国債や道路の制限速度など、「常時発動している例外(常時破られる原則)」はまだまだある。守れない原則を定めてもしょうがない。例外の発動は抑制すべきだが、原則の方も誰もが無理なく守れるラインで設定される必要がある。
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投稿者名:
Koguma
投稿日:2016年07月26日
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学校において、「文武両道」と言ったら大抵は「勉強と部活の両立」と解釈されると思います。しかし、両立するものは別に部活でなくたって(アルバイトや資格取得、ボランティア活動、遊びなどでも)良いはずですし、勉強一本でもそれはそれで良いのではないかと思います。
なぜ学校は「文武両道」で両立するものを「勉強」と「部活」に限定するのだろうか(「勉強」はまだ理解できるが)?
- 学校において、「文武両道」の意味は「勉強と部活の両立」とされる。だが、部活はあくまでも任意活動のオプションだ。よって「文武両道」は「勉強と(何かしらの任意活動)の両立」と解釈することが出来る。部活以外のものとの両立でも良いはずだ。
- 「勉強とアルバイトの両立」なら学費や小遣いが手に入るし、「勉強と資格取得の両立」で取得した資格はきっと何かの役に立つ。「勉強とボランティア活動の両立」で得た経験も何かの役に立つだろうし、「勉強と遊びの両立」で遊びまくるのもそれはそれでいい経験になると思う。両立を放棄して勉強一本でやっていくのもそれはそれでありかもしれないが。少なくとも部活動に固執する必要はない。
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投稿者名:
Koguma