労働者がいなければ企業は利益を出せないのだから、代役探しも有休を取る余裕の確保もリスク管理も企業の仕事だ。労基法を守れない企業は直ちに滅ぶべし。
投稿日:2017年02月23日
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もくじ
- 欠勤したことで罰金を徴収し勤務した分の賃金をナシにするのは、労働基準法違反だ。代役探しは労働者の義務ではない。
- リスク管理も有休を取る余裕の確保も使用者の仕事。仕事も責任も、労働者に押し付けるにも限度がある。
欠勤したことで罰金を徴収し勤務した分の賃金をナシにするのは、労働基準法違反だ。代役探しは労働者の義務ではない。
月給制の社員ならまだしも、時給制のアルバイトの場合は働かなければ給料は発生していません(当たり前ですが)。欠勤した場合も当然働いていませんから、欠勤した日の給料は0円です(有休を取っていなければ)。ここで、
- 労働基準法第十六条…労働契約の不履行に対して違約金を定める・損害賠償を予定することを禁止
- 同第二十四条…賃金は「通貨」で労働者に対して「直接」「全額」を支払う
どのような理由があれど、労働者がある時間に働いたのであれば、その事実は覆りません。遅刻したならば勤務開始時刻を記録して給与計算を行えばいいだけですし、欠勤したならばその日の労働時間を0時間と記録すればいいだけです。追加のペナルティを科すことはありません。
また、労働者の義務は「自分が働くこと」であり、「他人に労働への従事を強いること」ではありません。労働者を働かせて利益を得るのは使用者ですから、事業を円滑に運営したいのであれば、労働者が突然休みを取ることも当然想定するべきです。労働者とて人間ですから、24時間365日死ぬまで働くことなど出来るはずがありません。
もちろん労働基準法の遵守は使用者側の義務です。労働者が残っている有給休暇の取得を申し出たならば、使用者はそれを拒否してはいけません。都合が悪い時に時季変更権を行使することはできますが、有給休暇の取得そのものを拒否することはできません。そんなことをすれば労働基準法違反でお縄です。有給休暇の取得もまた、使用者が当然想定するべきことであると言えます。
リスク管理も有休を取る余裕の確保も使用者の仕事。仕事も責任も、労働者に押し付けるにも限度がある。
ごく当たり前のことですが、労働者がいなければ使用者は利益を手にすることはできません。また、労働者に「この仕事をしろ」と命じるのは使用者ですから、労働者がミスをしないように手を打つのは本来なら使用者の仕事です。管理職(管理監督者)は、労働者のリスクをも管理します。
労働者が仕事で何かミスをしたとしても、それが軽微な(故意ではない)ものであるならば、その責任を労働者が負うことはありません。使用者とて人間ですから、使用者が同じ仕事をしたとしても、やはりミスすることはあるでしょう。ミスが起きないように手を打つのは本来使用者側の仕事であり、リスク管理は使用者の責任です。労働者がミスをしたからといって罰金を取るのでは、本来使用者が負わねばならない責任を労働者に押し付けることになってしまいます。責任だけ押し付けて権限や金を与えないというのは流石に無茶苦茶です。
また、何の手続きもなしに労働者の給料から罰金を「横取り」したら、その地点で労働基準法第二十四条により使用者にはレッドカードが突きつけられます。使用者がするべきことを労働者に押し付けたら、手痛いしっぺ返しを食らうことになるでしょう。
労働者を使う以上、使用者は労働基準法などの様々なルールをキチンと守らねばなりません。ルールを守らない使用者の存在は、労働者やルールを守るまっとうな使用者を苦しめ、正当な競争を歪めてしまいます。「労働基準法を破らないと事業を続けられない」という企業は、市場から直ちに退場させられるべき存在です。
ブラック企業滅ぶべし。慈悲はない。
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