徴兵制で兵士を調達するのは非常に効率が悪い。だからこそ、志願制で人員を調達している自衛隊についてきちんと考えなければならないのかもしれない。

現在の日本には、「徴兵制」などというものは存在しません(学校の部活動が強制加入システム+月月火水木金金な活動スケジュール+あまりにも大変な活動内容で地獄絵図になっていることもありますが)。しかし、「軍隊ではない(と日本政府は言い張ってる)けど軍隊に酷似した組織」は存在します。言わずと知れた「自衛隊」です。自衛隊員は自らの意志で国防を担っています。そして、自衛隊員でない(=戦争になっても戦地に送り込まれる確率が低い)私たちは、最前線で命を賭ける自衛隊についてきちんと考えなければならないでしょう。

最前線で戦う人たちがきちんと身を守る事ができるよう、現実に即したルールの改正が必要かもしれない。

  • 自衛隊員は国防の最前線で命を賭けて戦っている。彼らを守るためには外交による戦争の回避とともに、敵軍に対抗しうる武装及びそれを自衛のためにきちんと使えるようにする交戦規定が必要である。身も蓋もないが、戦いになってしまったら武器を使わない訳にはいかない。残酷だが戦場においては敵を打倒しなければ我が身を守ることは出来ない(だからこそ外交努力で極力戦争を回避しなければならないのだが)。
  • 自衛隊は志願制で人員を調達している上に総員も多いとはいえない(陸海空合わせて25万人弱)。完全に専守防衛な交戦規定だと、「相手が攻撃してきて、それから反撃」という流れにしかならない。これではどう考えても敵方の初撃で自衛隊に大損害が出てしまう。そうならないためにも、先制的自衛(予防攻撃に非ず)は認められてしかるべきだと思う。もちろん戦争がないのが理想だが、理想だけでは飯は食えない。理想の実現を目指しつつ、粛々と目の前の現実にも対応するバランスが重要ではないかと考える。それを考えるのは私達国民一人ひとりだろう。

専守防衛(=本土決戦)で「相手が銃を発射して、それから反撃」することしか出来ないままでは、自衛隊(と一般市民)に多大なる犠牲を強いることになってしまう。先制的自衛(予防攻撃に非ず)を認めて、「敵がこちらに銃口を向けてきた地点で殺意ありとみなして自衛権を発動できるようにする」必要はあるのではないか?

本記事執筆地点(2016年6月)では、安保法制が施行され、集団的自衛権の行使についても限定的に認められるようになりました。しかし、日本周辺の情勢は完全に平和であるとは言い難いものです。中国は相変わらず尖閣諸島の領有権を主張し、軍備増強と領海侵犯を継続しています。北朝鮮は北朝鮮で相変わらずですし、同盟国たるアメリカもまもなく大統領選挙を迎えるため、新大統領の方針次第ではこれまでの日米同盟を基軸とした防衛政策の転換を迫られる可能性もゼロとは言い切れません。自衛隊がきちんと国土を防衛できる体制を整備する必要がありますし、日本は資源の大半を輸入に依存しているため、他国と協力してシーレーン防衛も行う必要があるでしょう。

さて、国土防衛やシーレーン防衛ともなると、敵対勢力との遭遇は懸念されるところです(そもそも敵対勢力が武力攻撃してくるおそれがあるから国土防衛やシーレーン防衛をきちんと考えなければならない)。そのようなときには、おそらく敵対勢力との戦闘を行い、これを撃破しなければならなくなるでしょう。本土に上陸してきた敵対勢力を撃破or撤退に追い込む事ができなければ、敵対勢力が国土を蹂躙し、多くの国民が犠牲になることでしょう。シーレーンの安全を脅かす敵を駆逐することが出来なければ、資源や食料の輸入が絶たれ、やはり国民が苦しむことになります。そのような事態を防ぐために外交努力は行われますが、敵対勢力が武力の行使を決断した地点でこちらも武力を持って自らを守る以外の選択肢はなくなります。残念ながら。「戦争は、外交の失敗以外の何者でもない」といわれる所以です。日本においては、敵対勢力と実際に戦うのは自衛隊の仕事ですが、自衛隊は「専守防衛」を掲げています(最近になって集団的自衛権の行使が限定的に容認されましたが)。専守防衛の原則を厳格に適用すれば、「相手がこちらに向けて銃を発射して、それから反撃」(集団的自衛権を行使すれば「相手が銃を味方に向けて発射して、それから反撃」)ということになります。しかしこのままでは、反撃を行うのは相手が実際に銃を発射してからです。普通に考えればこちらが反撃の発射を行う前に敵が発射した弾丸が着弾して戦死してしまいます。これではどうしようもありません。

自衛隊が志願制である以上、戦死者が出たからといって一般市民を無理やり最前線に立たせることは出来ません(そんなことをしようとしても訓練が間に合わないし技能レベルでは職業軍人にはまず勝てない)。一応予備自衛官(諸外国の軍隊で言う予備役)もいますが、そちらの人数も多いとはいえませんし訓練の時間も必要です。いつぞやのソ連のように兵士を畑で取れるわけでもありませんから、犠牲は極力抑えなければなりません。そのためには、「先制攻撃」「敵基地攻撃」についての法的整理ー3種に分けて考えないと無意味 – リアリズムと防衛ブログでもいわれていますが、「敵がこちらに銃口を向けてきた地点で殺意ありとみなして自衛権を発動できるようにする」必要があると考えます。最前線で戦う自衛隊員がきちんと自分の身を守れるように、平時からきちんとルールを制定する必要があります。

当然ながら、戦争がないに越したことはありません。しかし、有事への備えは平時からきちんとしなければなりません。敵対勢力が武力の行使を決断した地点で、こちらも自衛権を行使して防衛戦争をするしか無いわけです。「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」のフレーズは有名ですが、日本も平和の理想を追い求めつつ、粛々と目の前の脅威に対する備えをする必要があると考えます。

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