部活手当を増額しても、部活問題は何も解決されない。文部科学省の対応は相変わらずクズだった。部活問題の完全解決のためには、部活動システムの廃止が必要である。部活動規制法の早期施行を求む。
投稿日:2016年08月01日
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部活手当を増やしたところで休日が保障されるわけではない。おまけに部活手当は1分単位で支給されるものでもない。部活手当の増額を考えた人は頭が腐っているのだろうか。
- 教員が休日に部活動の指導に4時間以上従事した時、3000円の部活手当が支給される。2割増額されたら3600円。…だがこの手当は、4時間以上部活動をしないと支給されない(3時間部活をしても手当は0円)。おまけに部活をやった時間に応じて増額されることもない(8時間やっても12時間やっても3000円(3600円)のまま)。代休を貰えるわけでもない。
- そして、部活動はあくまでも「教員が自主的に指導している」という扱い(つまり法的にはやらなくても全く問題ないし、強制するのはもってのほか)。だが実際には、全員顧問制を敷かれていることも多く、やりたくなくても部活をすることを強制される教員は少なくない。そして、やりたくもない部活で休日が潰れる。文部科学省は何を考えているのだろうか。
- 今回文部科学省がしなければならなかった対応は、「すべての教員に部活動顧問の拒否権を与え、全国どこの学校でも必ず拒否権を行使できるようにすること」「すべての教員と生徒に週1日(できれば週2日)以上の完全休日を保障すること」「給特法を廃止し、教員にも1分単位で残業代を支給すること」「部活問題を完全かつ永久に解決すること」だ。部活手当を増額しても、休日は保障されないし部活動顧問の拒否権も保障されない。部活問題もそのままだ。いくらなんでもこれはひどい
問題だらけの部活手当。2割増額しても問題はなくならない。文部科学省が取るべき対応は「部活動顧問の拒否権を全教員に保障することである。
まず、部活動の位置づけは「生徒が自主的に行うもの」です(この原則が無視されている問題は当ブログでも取り扱っています)。そして、生徒が自主的に行う部活動を、教員が「自主的に」指導する…というのが、現在のシステムです。部活動の指導は、教員が「自主的に」行うことです(ここ重要)。なので、法的には部活動の指導をしなくても何ら問題ありません。
しかし実際には、「全員顧問制」などにより、教員に部活動顧問の仕事が割り当てられていきます。たとえ部活動顧問をやりたくなくてもです。「自主的に」の建前は吹き飛んでしまいました。そして、休日がなくなっていきます。月月火水木金金。どこぞの帝国海軍でしょうか。おまけに残業代がありません。部活動の指導は教員の正式な仕事ではありませんし、そもそも公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)により、教員には残業代が支給されないことになっているからです。
そして今回文部科学省が打ち出したのが、「部活手当の増額」です。部活手当は、教員が休日に4時間以上部活動の指導に従事した時に支給されます。金額は3000円でしたが、来年度からは2割増額されて3600円になります。しかし、部活手当を増額したところで、問題は何も解決されません。部活手当は4時間以上部活の指導をしないと支給されず(3時間やっても支給額はゼロ)、また何時間やっても金額は変わらない(4時間やって3000円貰えるが、8時間やっても12時間やっても3000円のまま)…というのも問題ですが、真の問題は別なところにあります。
部活手当を増やしたところで、休日が守られるわけでもなければ、部活動顧問の拒否権が保障されるわけでもありません。私が今回の文部科学省の対応をクズだと認定する理由はここにあります。部活動顧問が「自主的に行うもの」であるのならば、その建前がキチンと守られるようにしなければなりません。すべての教員には部活動顧問の拒否権が保障されなければなりませんし、誰にも気兼ねすることなく拒否権を発動できる必要があるのです。
「部活は休み休みやれ!!」という通知を出しながら、長時間部活を推進するようなことを同時に行う文部科学省。お偉いさんの頭はスポンジで出来ているのだろうか。
文部科学省は、2016年6月に「部活動にはきちんと休養日を設けよ」という通知を出しました。通知の資料PDFには、以下の様な記述があります。
学校での部活動は,教育課程外の活動として,あくまで生徒の自主的,自発的な参加により行われるものであり,その参加については,生徒一人一人の考えを大切にすることが必要である。また,豊かな人間性や社会性を育むためにも,生徒が,部員以外の多様な人々と触れ合い,様々な体験を重ねていくことも重要である。かかる観点から,部活動に拘束されすぎることがないようにすることが求められる。他方で,教員の中には休養日もなく部活動指導を行っている実態もあり,大きな負担を強いることで部活動が成り立っている状況は正常ではなく,適正化を図る必要がある。部活動の顧問になるにあたっては,各学校長が,教員の専門性や校務分担の状況に加え,負担の度合い,地域人材の活用の可能性等も踏まえて適正に行うことが必要である。
学校現場における業務の適正化に向けて(本体) – 1372315_03_1.pdf
休日を潰してまで部活動をやるのは「正常ではない」ということです。しかしその一方で、部活手当の増額も行っています。部活手当は休日に4時間以上部活動の指導をしなければ支給されませんから、部活手当の増額は、ある意味で休日の部活動を促進するものです。「部活は休み休みやれ!!」と言いながら「休日もどんどん部活しろ!!」と叫んでいるのが文部科学省です。お偉いさんの頭は本当に大丈夫なのでしょうか。
ともあれ、部活問題の解決は、ありとあらゆる障害を乗り越え、現行の部活動システムを廃止してでも成し遂げなければなりません。部活問題という負の遺産は、将来世代に押し付けていいものではありません。今回も文部科学省の対応にはがっかりさせられましたが、部活問題の解決は必ず成し遂げなければならないのです。そのためには、部活動の縮小廃止が必要かもしれません。
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