覚えておきたい「預金保険制度」と正しい預金プラン
投稿日:2017年02月27日
最終更新日:
もくじ
- 「預金保険制度」とは
- 銀行破綻時に守られる預金の範囲と「名寄せ」について
- 銀行破綻リスクを念頭に置いた預金プラン
「預金保険制度」とは
万一銀行が破綻し、その時に預金が返ってこないとなれば、私達の資産は大打撃を受けます。過去には銀行が破綻しそうになった時、何とかして自らの資産を防衛するべく人々が銀行の窓口に殺到し、皆が皆預金を1円でも多く引き出そうとして混乱が発生したこともありました(取り付け騒ぎ…例:昭和金融恐慌)。
そこで、「預金保険制度」が創設され、ある範囲の預金については銀行が破綻しても消えて無くなることはなく、預金が保護されるようになりました。日本の場合は「預金保険機構」が預金保険を運用しており、銀行が預金保険機構に保険料を支払うことで、銀行破綻時にも預金者の預金が保護されるよう、預金保険機構が必要な支援を行うことになっています。
銀行破綻時に守られる預金の範囲と「名寄せ」について
とは言え、無制限に預金を保護してしまうと銀行破綻に備えて用意しなければならない金額は膨大なものとなります。また、全額保護の場合は破綻しそうでなおかつ預金金利が高い銀行に金を預けて一儲けしようとする輩が現れる可能性もあります。そういうわけで、銀行破綻時に守られる預金には制限があります。
- 決済用預金(当座預金など)…全額保護
- 一般預金(有利子普通預金、定期預金など)…1人につき元本1000万円までと破綻日までの利息は保護(1000万円以上の元本はカットされる場合あり)
- 外貨預金など…預金保険による保護の対象外
決済用預金(無利子・決済サービスを提供可能・預金者がいつでも払い戻しを要求できる)については無制限に保護されます。銀行口座による資金のやり取りを円滑に行えるようにするために必要ということでしょう。預金保険により保護される預金の内、決済用預金以外の部分については、1人あたり1000万円まで保護されます。預金保険により保護される預金の例としては、
- 当座預金(決済用)
- 普通預金(無利子なら決済用)
- 定期預金
- 定期積金
- 確定拠出年金
また、気をつけなければならないのは「名寄せ」です。銀行が破綻した場合は、ある人がその銀行に持っている口座の残高は全て合算され、預金総額が計算されます。同じ銀行に同一人物が複数の口座を作って資金を分散させても破綻対策にはならないということです。個人の場合、名寄せは以下のようなルールで行われます。
- 1個人を1預金者とする。家族でもなんでも個人は個人。
- 他人の名義を借りて預金している場合は保護の対象外。
- 同一人物が複数の口座を作っている場合も、全ての口座の残高は合計される。
銀行破綻リスクを念頭に置いた預金プラン
現金資産の合計が1000万円未満であれば、どの道全額保護されるので、自分がよく使う銀行に全額を預けても問題はないはずです。ただ、現金資産の合計が1000万円を超えるような場合は、1つの銀行に全額を預けることはリスクとなります。その銀行が破綻した時に、1000万円を超える部分の元本は戻ってこない可能性が出てくるからです。
よって、1行あたりの預金総額が1000万円を超えないようにコントロールすることが、銀行破綻に備える預金の基本となります(銀行破綻に備える究極の方法はタンス預金などになりますが…)。異なる銀行に口座を開設し、1行あたりの預金額が1000万円を超えないようにすれば、全ての預金が守られます。
また、銀行破綻時も預金保険により預金が保護されるとは言っても、名寄せ等の作業には時間がかかるため、実際に預金が現金として手元に返ってくるまでにはそれなりの時間がかかります。そのため、預金者が当面の生活資金に窮することが無いよう、「仮払金」が支払われる場合がありますが、これは1口座あたり60万円が上限です。そうそうありえないとは思いますが複数の銀行が同時に破綻して預金をすぐには下ろせない状況に陥った場合、異なる銀行に口座を開設していれば仮払金を(銀行口座数×最大60万円)受け取ることができ、より多くの現金を確保できるようになるはずです。
ともあれ、信頼できる複数の銀行に資金を分散する。これが銀行破綻リスクから預金を防衛できる預け方です。
参考リンク