風邪やインフルエンザになったのに無理やり出勤・登校するのはバイオテロである。会社や学校は突発的な休みが発生してもなんとかなるような環境でなければならない。
投稿日:2016年11月13日
最終更新日:
もくじ
- インフルエンザワクチンも風邪薬も万能ではない。きちんと治さずに出ててきたらバイオテロになってしまう。
- 治りきらないままに無理やり出させて集団感染させるよりも、隔離(出席停止)して完治させるほうが合理的なはずだ。
- 皆勤賞の功罪
インフルエンザワクチンも風邪薬も万能ではない。きちんと治さずに出ててきたらバイオテロになってしまう。
インフルエンザについては、インフルエンザワクチンを打って予防するという手段があります。しかし、インフルエンザワクチンだけで発症を完全に抑止できるというものではありません。ワクチンを打っても発症するときは発症します。また、インフルエンザに一度かかったら、発症後もしばらくは(解熱後も)ウイルスを排出しています。インフルにかかったときの学校における出席停止期間が『発症後5日経過し、なおかつ解熱後2日(幼児は3日)経過するまで』となっているのもこのためです。
風邪ならばインフルエンザよりは少ない被害で済むかもしれませんが、それでも熱や頭痛、喉の痛み等で仕事の効率は間違いなく下がってしまいます。ゲームで言えばバッドステータスを食らった状態です。これが本人のみならず周囲にも撒き散らされるのですから、風邪やインフルエンザにかかったのに治さずに無理やり出勤・登校する行為はバイオテロであると言えます。
しかし実際には、学校でも会社でも「風邪くらいで休むな」という空気が蔓延していたり、とある製薬会社が風邪薬のキャッチコピーに「風邪でも、絶対に休めないあなたへ」という一文を使用したりと、「風邪を引いても休まない」という前提で社会が回っている部分もあります。「風邪くらいで休んではいけない」という風潮を強化したら、ますますブラック企業(違法企業)がはびこる気がするのですが。
「風邪でも、絶対に休めない私」のために薬を開発するより「風邪でも、絶対に休めない社会」をどうにかしてほしい。 pic.twitter.com/jjq6NA2AqT
— はとり (@AB3SH1) 2016年10月26日
治りきらないままに無理やり出させて集団感染させるよりも、隔離(出席停止)して完治させるほうが合理的なはずだ。
風邪やインフルエンザが治りきっていない状態で無理やり出勤・登校させても本人の作業効率は低下したままですし、周囲の人に病気をうつすリスクを抱えることになります。集団感染でもしたらさらに多くの人がダウンし、被害の拡大は不可避です。そうなるよりは、発症した人をきちんと休ませ、完治させてから出てきてもらったほうが合理的なはずです。
風邪やインフルエンザによる被害を抑えるためには、風邪やインフルエンザになった時にきちんと休めるような環境が必要です。休むための制度だけあっても、その制度を使うことがはばかられるような空気が蔓延していてはどうしようもありません。様々な役立つ制度は、実際に使えて初めて意味があるのです。制度の内容を書いた紙だけあっても、実際に使えないのではまさに絵に描いた餅です。
皆勤賞の功罪
…しかし、病気になっても簡単には休めない社会になってしまった背景には、学校で授与される「皆勤賞」の影響があるのかもしれません。(出席停止・忌引等を除いて)1日も休まなかった児童生徒は卒業式などで「皆勤賞」を授与されるかと思います。「1日も休まなかった」という事実は上級学校を受験する場合にも他の受験者に対して優位に立てる要素とされ、それゆえ真面目な人々は頑張って皆勤を目指します。
皆勤のためには風邪で休む訳にはいきませんから(インフルの場合は出席停止なのでセーフ)、風邪でも無理やり登校する習慣が身についてしまいます。その習慣が就職後も抜けず、皆勤賞を目指した子どもが有給を取らなかったり風邪でも無理やり出勤する大人になってしまっている可能性はあるでしょう。「皆勤賞」は真面目に毎日登校させるモチベーションとなる一方で、有休を取れない大人を育成してしまっている罪な部分もあります。これからの学校は、子どもたちにきちんと学習させながら、適度に休みをとる技術も教えなければならないということでしょうか。もちろんテレビなどでも大人に対して有給休暇の重要性を教育・啓発する必要がありますが。
参考リンク