教員の「超勤4項目」とはなんぞや?でもこれを知らないと教員の残業問題は語れないかも!?

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部活問題その他教員の労働時間に関する問題について調べていると、「超勤4項目」という用語が出てきます。「超勤4項目」とは、一体どのようなものなのでしょうか?

教員の場合、「超勤4項目」に定められている項目以外のことで時間外勤務(残業)を命じることはできない!?

  • 中央教育審議会 初等中等教育分科会 教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第8回)議事録・配付資料 [資料5]-文部科学省によると、教員については「超勤4項目」以外のことで時間外勤務を命じることはできないのだそう。
  • 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」では、「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。(給特法第3条第2項)」と定められており、その代わりに「教職調整額」(教員の給料の4%を追加支給)と時間外労働の規制(「超勤4項目」以外で時間外労働を命じることはできない)を行っている。謎のシステムだ。残業代の計算がめんどくさくなったのだろうか?
  • 「超勤4項目」は、「生徒の実習関連業務・学校行事関連業務・職員会議・災害等での緊急措置など」と定められている。「部活動顧問」はここに含まれていないため、部活動顧問業務で残業や休日出勤を命じることは不可能である。
  • 現行制度では、「超勤4項目」以外の教員の時間外労働は全て「教員の自発的行為」として整理されているらしいが、いくらなんでもそれはおかしいと思われる。国は学校をブラック企業構成員養成機関にしようとしているのか?

教員の時間外勤務(残業)と時間外勤務手当(残業代)問題を紐解く鍵は「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」にあり!

教員の給料について、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(略して給特法)という法律があります。

第三条  教育職員(校長、副校長及び教頭を除く。以下この条において同じ。)には、その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。

  • 2  教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。
  • 3  第一項の教職調整額の支給を受ける者の給与に関し、次の各号に掲げる場合においては、当該各号に定める内容を条例で定めるものとする。
    • 一  地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百四条第二項 に規定する地域手当、特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)、期末手当、勤勉手当、定時制通信教育手当、産業教育手当又は退職手当について給料をその算定の基礎とする場合 当該給料の額に教職調整額の額を加えた額を算定の基礎とすること。
    • 二  休職の期間中に給料が支給される場合 当該給料の額に教職調整額の額を加えた額を支給すること。
    • 三  外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律 (昭和六十二年法律第七十八号)第二条第一項 の規定により派遣された者に給料が支給される場合 当該給料の額に教職調整額の額を加えた額を支給すること。
    • 四  公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律 (平成十二年法律第五十号)第二条第一項 の規定により派遣された者に給料が支給される場合 当該給料の額に教職調整額の額を加えた額を支給すること。

第六条  教育職員(管理職手当を受ける者を除く。以下この条において同じ。)を正規の勤務時間(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律 (平成六年法律第三十三号)第五条 から第八条 まで、第十一条及び第十二条の規定に相当する条例の規定による勤務時間をいう。第三項において同じ。)を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする。(注釈:「政令で定める基準」=「超勤4項目」 中央教育審議会 初等中等教育分科会 教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第15回)議事録・配付資料 [資料2-2]-文部科学省も参照のこと)

  • 2  前項の政令を定める場合においては、教育職員の健康と福祉を害することとならないよう勤務の実情について十分な配慮がされなければならない。
  • 3  第一項の規定は、次に掲げる日において教育職員を正規の勤務時間中に勤務させる場合について準用する。
    • 一  一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第十四条 に規定する祝日法による休日及び年末年始の休日に相当する日
    • 二  一般職の職員の給与に関する法律 (昭和二十五年法律第九十五号)第十七条 の規定に相当する条例の規定により休日勤務手当が一般の職員に対して支給される日(前号に掲げる日を除く。)

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法より引用
(参考)『超勤4項目』:
  1. 教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じないものとすること。
  2. 教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。
    • イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
    • ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
    • ハ 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
    • ニ 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務
中央教育審議会 初等中等教育分科会 教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第8回)議事録・配付資料 [資料5]-文部科学省より引用

資料の引用が長くなりましたが、教員に時間外労働を命じることができる業務が「超勤4項目」になります(つまり「超勤4項目」に定められていない業務で教員に時間外労働を命じるのはダメだということです)。「超勤4項目」に当てはまるのは(資料のパクリですが)、

  • 生徒の実習関連の業務(校外学習とか)
  • 学校行事関連の業務(修学旅行とか)
  • 職員会議
  • 災害時等の緊急でやむを得ない業務
となります。この中に入っていない業務は(時間外にやっても)「教員が自主的にやっていること」になるので、部活動の顧問業務も(扱いとしては)「教員が自主的にやっていること」になります。実際には学校側が「強制」していることも多々あるのに「自主的に」とはどういうことなのかという問題がありますが。

「教員には残業代が出ない」と言われる事がありますが、(実情をガン無視して)給特法だけを見て言えば、「教員には残業代を支給しない代わりに教職調整額を支給し、超勤4項目以外での時間外勤務を禁止して公平性を担保している」と見ることもできます。しかし実情としては、「超勤4項目」に当てはまらない業務(部活動の顧問など)が当然のように命じられ、残業代は支給されないままという有様のようです。

本来は「超勤4項目」以外の業務での残業を禁止(業務のすべてが勤務時間内に収まるように仕事の割り振りをしないといけない)して、教員の勤務様態の特殊性を考慮して「教職調整額」を支給する代わりに時間外勤務手当を支給しないようにした…という理屈です。確かに時間外勤務がなければ残業代を出す必要はありませんし、教員には校外学習や修学旅行などといった特殊な勤務形態もあります。そう考えれば、(時間外勤務が発生しないかぎりは)給特法はそれなりに合理的なものかもしれません。(中央教育審議会 初等中等教育分科会 教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第10、11回)議事録・配付資料 [資料4-2]-文部科学省も参照)

しかし、教員の実情としては、「時間外勤務ゼロ」というのがそもそも無理な話になっています。部活動の顧問をやれば余裕で残業が発生し、場合によっては休日出勤だってあります。部活動がなくても、時間外業務は無くならないようです。

給特法(正式名称は「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」)は、もはや現状とはかけ離れた法律になってしまいました。私としては、部活動を学校から切り離した上で教員の業務をスリム化し、教員にしかできない仕事だけを教員がやるように(事務作業は事務員に)して、すべての業務がきちんと正規の勤務時間内に収まるくらいの人員を確保した上できちんと残業代を支給すべきだと考えています。現状のままでは、教員は労働基準法違反(これを人はブラック企業という)な労働を強いられ、それを見させられた子どもたちがブラック企業に足を突っ込み、ブラック企業が延命される…というバッドエンドになってしまいます。

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