少子高齢化の進行に歯止めをかけるためにも、労働者の健康のためにも、労働条件を改善して「(選択制)完全週休3日制」や「週32時間労働」「副業自由」「有休取得率100%」を実現しなければならないと思う。
投稿日:2016年06月11日
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労働時間の短縮・総量規制は労働者の健康を守るためにも必要だし、様々な事情を抱えながら働く人のためにも必要。
- これまでは労働基準法で「週40時間労働」と定められていた(実際には残業で週40時間を超えることも多々ある)が、労働者も様々な事情を抱えている。人口が減少する中で労働者を確保するためにも、様々な事情を抱えながらでも働きやすい環境を作らなければならない。そのためには「(労働者が選択すれば)完全週休3日制」や「週32時間労働」を導入すべきだと考えるのは私だけだろうか。
- 完全週休3日制+週32時間労働ならば、1日8時間労働×4日=週32時間。労働者が「週休2日にして1日あたりの労働時間を減らす」ことを望むなら、1日6.4時間労働×5日=週32時間にしてもよいだろう。あるいは10時間労働×2日+4時間労働×3日=週32時間(週休2日)という選択肢もある。労働者が自分のワークスタイルを選択できることも重要。
- 法定労働時間の短縮とともに、残業時間についても総量規制が必要。過労死ラインが80時間(月45時間以上の時間外労働が発生すると過労死リスクが高まり始める)ならば、1ヶ月あたりの残業時間(休日出勤含む)の上限も労働基準法で厳しく規制をかけるべきだ。副業についても完全自由化(副業禁止規定を就業規則に盛り込むことを労働基準法で禁止)して、労働者が複数の収入源を持てるようにすることも生活の安定のためには必要。有給休暇もせっかく付与されるのなら(パートやアルバイトなども含めて)きちんと取れるような体制を整備すべき。労働基準法違反の徹底取り締まり・厳罰化も合わせて必要。
誰もが多様なワークスタイルを選べるような制度が、誰もに公平な制度である。全員の労働時間を減らしてしまえば、全員に公平だ。まずは週32時間労働の実現を。
2016年5月現在、労働基準法では労働時間と休日について、
- 1日8時間労働(法定労働時間)
- 週40時間労働(法定労働時間)
- 最低限週1日の休日(法定休日)
- 法定労働時間より多く働かせる(時間外労働をさせる)・休日出勤させる場合はいわゆるサブロク協定の締結が必要
ところで、今と昔では労働形態も様変わりしました。昔は「会社で働く父親+専業主婦の母親+子供二人」のいわゆる「標準世帯」が一般的とされてきましたが、現在は標準世帯の定義から外れる世帯の方が多いのではないかと思います。しかし、現在は共働きが増え(それによって待機児童問題が深刻化)、DINKs(意識的に子供を持たない共働き夫婦)もまた増えているのではないでしょうか。そもそも結婚していない人だって増えています。まあ子供をきちんと育てることができるのならば結婚せずに子供を産み育てるのも自由だと思いますが。ともあれ家族の形が多様化していることは紛れもない事実です。子育てや介護をしながら働く人だって増加しているでしょう。
昔のような長時間労働は、「標準世帯」で子育てや家事の一切を専業主婦が担っていたからこそ可能だったスタイルです(家事子育てを専業主婦の母親に丸投げし、父親はひたすら仕事に明け暮れる)。しかし、経済的事情で共働きを選択せざるを得ない家庭も増加し、子育てや介護をしながら働かなければならない人も増加しています。その場合はそれなりの時間を子育てや介護に割くことになるので、長時間残業するわけには行きません。というか週40時間でも多いという人もいるのではないでしょうか。しかし、働き方に制約がある人を排除するのは非現実的です。際限なき労働時間の拡大は確実に労働者の体を蝕み、また働き方に制約がある人を排除してしまいます。一億総活躍には程遠いスタイルです。一億総活躍を掲げるのであれば、働き方に制約がある人でも働きやすいような制度を作り、それを確実に適用しなければなりません。「ルール作って魂入れず」では困ります。
さて、子育てや介護をしながら働く人は時間がいくらあっても余ることはないでしょう。現在も時短勤務などの制度はありますが、これをさらに推し進め、法定労働時間を改定して「週32時間労働」にするべきではないかと思います。一部の人だけに時短勤務などを適用すると他方から不満が出て対立を生む原因になることもありますが、法定労働時間そのものに手を付けて労働者全員の労働時間を短縮してしまえば無益な対立が生まれることはありません。時間あたりの生産性は技術革新などで昔と比べれば上がっているはずですから、その分時給(換算した給料)も増やす必要があるのは言うまでもありません。残業にも総量規制をかけるとともに、インターバル休息システムも導入する必要があるでしょう。
また、どのような人でも自分のワークスタイルを自由に選べるようにすることも必要だと考えます。労働時間を柔軟に変更する権利は、一部の人の「特権」ではなく、誰もが行使できる「普遍的な権利」であるべきです。一口に「週32時間労働」といっても、冒頭で示したように「毎日8時間働いて週休3日」という人もいれば、「1日10時間を2日と1日4時間を3日で週32時間労働」というスタイルを選択する人もいるかもしれません。「(選択制)完全週休3日制」としたのも、「週休2日にして1日あたりの労働時間を軽減したい」というニーズに対応するためです(法定休日自体は週休2日以上を目指すべきだとは思います)。個人の事情に合わせて柔軟に働き方を選べるようになれば、子育てや介護などをしながらでも仕事を続けやすくなります。働き方に制約がある人でも仕事を続けられるシステムは、労働力の確保という意味で必要なものですし、働き方を選択する権利はすべての労働者が持つべき権利であるはずです。
これまでは労働基準法を無視する「ブラック企業」が横行していましたが、こちらもさっさと一掃しなければなりません。求人詐欺は万死に値します。労基法違反は直ちに滅ぼされるべきです。労働者の生活の安寧を保つためには、労働基準法違反を一刻も早く放逐し、ブラック企業を無くす必要があります。労働基準法違反の徹底取り締まり・厳罰化は必須です(その辺りについては労働基準監督署や厚生労働省にもっと頑張って欲しいところです。取り締まる側がブラック化したら洒落になりませんが…)。有給休暇もきちんと使いきれるようにする必要がありますし、副業についても自由化すべき(副業禁止規定を就業規則に盛り込むことを労基法で禁止するべき)です。労働条件を改善することは、社会の活力を保つためにも少子高齢化に歯止めをかけるためにも必要なことであると考えます。