労働基準法を破り、人を殺してしまった罪は重い。電通ならずとも、「労基法違反=社員を奴隷扱いしている」の恒等式が例外なく成り立つ。
投稿日:2016年12月30日
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もくじ
- 労働基準法は「人間らしい働き方」の最低基準。どのような理由があろうとも、これを破ることは認められてはならない。
- 「労基法違反=社員を奴隷扱いしている」の恒等式は絶対に成り立つ。使用者の属性にかかわらず、雇用形態関係なく。
労働基準法は「人間らしい働き方」の最低基準。どのような理由があろうとも、これを破ることは認められてはならない。
まずはじめに、労働基準法の条文を確かめておきましょう。赤文字は筆者が強調している部分です。
第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
労働基準法より
○2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
労働基準法の一番初めに、「労働条件は労働者が人間らしい生活を営めるものでなければならない!」と宣言していますね。また、「この法律で定める労働条件の基準はあくまでも最低基準だよ」ということも合わせて宣言しています。以上より、労働基準法は「人間らしい働き方」の最低基準であることが分かります。
また、「労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」という条文もあり、労働条件は労働基準法を満たすだけではなく、常に(労働者にとって)よりよい条件に変えていかなければならない、ということも示されています。会社とて労働者がいなければ仕事になりませんから、儲かったら利益を労働者に還元(=賃上げ・労働時間の短縮など)しなければなりません。労基法を破るのは論外です。
「人間らしい働き方」の最低基準たる労働基準法が破られてしまっては、労働者はまともな生活を営むことができなくなってしまいます。過労で病気にかかりやすくなり、最悪の場合は過労死してしまうことは幾多もの犠牲者が証明しています。また、まともな給料が出ないようでは個人消費は冷え込み、景気悪化の原因になってしまいます。日本の企業が長きにわたって人件費をケチってきた(給料を労働者に渡さなかった)結果が、いわゆる「失われた20年」です。
労働者の健康と生活を守るためにも、経済を発展させて国家を維持していくためにも、労働基準法は労働者を守る最後の砦として君臨し、労働者を守護せねばならないのです。どのような理由であろうと、労基法違反が認められてはなりません。
「労基法違反=社員を奴隷扱いしている」の恒等式は絶対に成り立つ。使用者の属性にかかわらず、雇用形態関係なく。
労働基準法は「人間らしい働き方」の最低基準ですから、労基法違反の会社は「社員を人間として扱っていない(奴隷扱いしている)」ことになります。また、下請けに対して代金をケチったり無茶な納期や要求を押し付けている会社は、「下請けの人を奴隷扱いしている」と言えるでしょう。奴隷解放宣言はとっくの昔になされていると言うのに、未だ社員を奴隷扱いするブラック企業が存在するのが日本の真の姿だというのでしょうか。
労働者の雇用形態にかかわらず、「労基法違反=社員を奴隷扱いしている」の恒等式は絶対に成り立ちます。正社員であろうとアルバイトであろうと、残業代をちょろまかしてはいけませんし休みもきちんと与えなければなりません。アルバイトでも労働時間に応じて有給休暇は付与されます。
使用者が電通のような大企業であろうとそこら辺にある町工場みたいな零細企業であろうと、「労基法違反=社員を奴隷扱いしている」の恒等式は絶対に成り立ちます。理由が何であれ、労働基準法違反は決して許されません。「労働基準法を守っていたら破綻してしまう」という会社は、市場から淘汰されなければならない存在です。
ブラック企業の存在を放置して損をするのは、労働者と労基法を守っているきちんとした企業です。労働者の生活と健康を守り、労働基準法などの法律を守っているきちんとした企業がブラック企業に駆逐されないようにするためには、ブラック企業を徹底的に市場から排除し、1日8時間以下・週5日以下の労働でまともな生活が出来るような世界を作らねばならないのです。