これ以上部活問題を深刻化させないためには、スポーツ指導者(有給)の活躍の場を広げる必要があるのかもしれない。
投稿日:2016年07月17日
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部活動によって圧迫された民間のスポーツクラブを復活させることが、部活問題の解決に繋がるのかもしれない。スポーツの指導もタダではない。
- スポーツ指導も本来はそれなりにお金がかかるもの。スポーツ指導者は指導者になるために時間と資金を投下してスポーツの技能と指導スキルを習得し、何らかの報酬をもらってスポーツの指導を行う。これが本来の姿であるはずだ。しかし、民間のスポーツ指導者の活躍の場は、部活動によって圧迫されているのかもしれない。
- 部活動の顧問としてスポーツ指導にあたっている人は、本来は学校の先生である。つまり、都道府県や学校法人などから給料を貰って子どもたちに授業を教えている。公立学校の場合、いくら部活顧問の仕事をしても、残業代はつかない(か、ついても最低賃金未満だったり)。よって、部活動の顧問としてスポーツ指導にあたっている人は、スポーツ指導によってお金を貰っているわけではない(し、スポーツ指導のスキルがない人が無理やりスポーツ指導をやらされている場合もある。これは現行の部活動システムの問題点)。
- スポーツ指導者が安定的に給料を貰って活動できる場が学校の部活動以外にも必要だ。民間のスポーツクラブなどが勢いを盛り返せば、スポーツ指導者が学校の先生以外で就職先を見つけられるようになる。学校からは「部活だけ教員」を減らせるし、スポーツ指導者も勤務時間をフルにスポーツ指導のために使える。部活動を学校から切り離し、スポーツをしたい人は民間・地域のスポーツクラブ等に行くようにすればいい。部活問題も解決できるし、スポーツ指導者の専門性も高まる。そして、新たな雇用が生まれるからGDPも上がるかもしれない。
学校の先生として活動する「副業(ボランティア)スポーツ指導者」は、「部活だけ教員」と紙一重。
日本の学校には「部活動」があり、スポーツや文化活動などを行っています。部活動で月謝を払うことはなかなか無いかもしれませんが、本来はスポーツの指導にもお金がかかるものです。スポーツ指導者は、スポーツ指導のために時間とお金をかけてスポーツを指導するのに必要なスキルを習得している(はずな)のです。指導するときも、クライアントの体調やレベルなどに合わせて適切な練習メニューを組む必要があるでしょう。本来ならば、スポーツ指導者にもそれなりの報酬が必要なのです。
しかし、日本において学生時代のスポーツの場は学校の部活動であることが多いです。そして、部活動でスポーツ指導者の役割を果たしているのは、学校の先生であることが多いです。道具代などは別として、部活動では無償でスポーツ指導を受けられる場合が多いのではないかと思います。消費者視点では素晴らしいかもしれません。しかし、スポーツ指導者としては大変困った状況です。仕事(スポーツ指導)をしても報酬がもらえないのですから。これでは生活が成り立ちません。
学校の先生の場合は、本業はあくまでも「授業」です。授業を教えることで、都道府県や学校法人などから給料を貰っています。なので、部活動でのスポーツ指導員としての仕事はあくまでも「副業」なのです。実際には部活の面倒を見ても残業代が出ない(or最低賃金未満)ので、「無賃労働」と言ったほうが実態を正確に表しているかもしれません。また、スポーツ指導のために学校の先生になる場合、生活の安定と引き換えに、スポーツ指導関係の仕事に割ける時間がどうしても限定されます。先生の本業は授業なので、授業を放棄するわけにも行きませんから。
…なお、学校の先生の一部には、(本来の仕事ではない)部活動に重点を置き、本来の仕事である授業などで手抜きをする輩が存在するようです(「部活だけ教員」)。しかしその一方で、本人の意志に関わりなく強制的に部活動でスポーツ指導をさせられる教員もいるようです。どちらも、部活動が学校に存在し、指導要員を学校内だけで賄おうとした結果です。これはひどい
学校から部活動を切り離し、スポーツ指導の機能は民間・地域のスポーツクラブなどに移行するべき。そしてスポーツ指導者にはきちんと給料を出すべきだ。
何でもかんでも学校に丸投げした結果、現場の先生たちの負担は過大なものになってしまいました。仕事はプラスするだけではいけません。仕事を増やすならば、処理能力も同時に増やす必要があります。処理能力をきちんと確保できない場合は、仕事を減らす必要があるでしょう。残業はあくまでも「労基法では禁止されているけどサブロク協定によって特別に許可された『例外』」ですから。学校の場合も、そろそろ仕事を減らさなければなりません。部活動は、学校から切り離す(廃止する)べきです。
部活動を学校から切り離せば(廃止すれば)、現存する部活問題を一掃できます。また、活動場所には学校の縛りがなくなるので、自分の地域のスポーツクラブに参加するのも、事情が許せばちょっと遠くの強豪チームに参加するのも自由です。そして、競技人口が少ないマイナーなスポーツでも、地域全体を見渡せばなんとか1チーム組めるくらいには競技人口がいるかもしれません。校内でプレイヤーを調達しなければならない部活動ではチームを組めなくても、地域のスポーツクラブであれば地域全体からプレイヤーをかき集めることが出来ます(あくまで参加するかは個人の自由ですが)。部活動を地域のスポーツクラブに移行することには、様々なメリットが有ります。
そして、スポーツ指導者としても、スポーツクラブならば勤務時間を丸々スポーツ指導のために使うことが出来ます。(スポーツクラブでの)スポーツ指導のために学校の先生になる必要もなくなるので、「部活だけ教員」を減らすことにも繋がるでしょう。また、スポーツ指導者にはきちんと給料を出さなければなりません。新たな雇用が生まれますから、経済効果もあります。給料を貰って活動するスポーツ指導者の活躍の場を拡大することには、様々なメリットが有ります。そしてそれは、部活問題の解決にも繋がるのかもしれません。
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