時間外労働の上限規制と労基法等違反の取り締まり・厳重処罰はセットになることで、労働環境の改善を推し進めるブースターとなると思う。
投稿日:2017年05月13日
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もくじ
- 平気で法律を破るブラック企業に核兵器クラスの処罰を与えるシステムが無ければ、労働者保護は机上の空論になりかねない
- 時間外労働の上限規制と労働基準法を確実に守らせる警察機構はセットになることで、より強力になる
平気で法律を破るブラック企業に核兵器クラスの処罰を与えるシステムが無ければ、労働者保護は机上の空論になりかねない
そもそも週40時間を超える労働は、本来なら労働基準法違反です。多くの会社ではいわゆるサブロク協定を締結して労基署に届け出を行うことで時間外労働を合法化していますが、それでも時間外労働させられる時間の上限は原則として月45時間までです。…が、例外たるサブロク協定にはもう1つ例外があるのです。それがいわゆる「特別条項」で、これが残業時間を実質無制限にしてしまう元凶でした。
そして、経団連:時間外労働の上限規制等に関する労使合意 (2017-03-13)にもあるように、ようやく「残業時間は最大でも月100時間未満」とする規制が導入される運びとなりました。もちろん過労死ラインギリギリの規制を恒久化させてはならず、残業時間上限を引き下げる努力は継続しなければなりませんが、最悪の状況からは一歩前進した感じです。
しかしながら、ルールが書かれた紙だけあっても何の意味もありません。労基法を始めとするルールが実際に守られなければ、労働環境を改善するどころか会社が労働者を殺してしまいます。そして、未だはびこるブラック企業の多くはルールを平気で破る無法者です。無法者にルールを強制的に守らせる、あるいは無法者を市場から隔離追放するシステムがなければ、時間外労働の上限規制は骨抜きにされ、労働基準法は無力化されてしまいます。
時間外労働の上限規制と労働基準法を確実に守らせる警察機構はセットになることで、より強力になる
よって、労働者を守り労働環境を改善するためには、時間外労働の上限規制などのルールを整備するとともに、ルールを確実に守らせる警察機構(労働基準監督署)を強化し、どんなブラック企業が相手でも労働者を守り、いざとなればブラック企業を粛清することが出来る力…すなわち抑止力を用意する必要があります。
電通事件のときのように過労死する人が出ても書類送検だけで済むようでは、あまりにも手ぬるいと言えます。労働基準法違反の法定刑や行政処分はもっと強化されるべきです。法定刑は使用者が個人の場合は最大で死刑か終身刑、法人の場合は(労働者への賠償金を全て支払わせた後で)法人の全財産を没収した上で強制解散(法人格を消滅)させるくらいの重罰があっても良いのではないかと思います。行政処分についても大強化を行い、労働基準法を無視することによって得られるすべての利益を完全に相殺してもなお余りある致命傷を発生させるレベルにすることは必須です。
労働者を守るためのルールとルールを守らせるシステムがセットになることで、労働者はブラック企業の脅威から身を守ることができ、またブラック企業に立ち向かうこともできます。時間外労働の上限規制と労働基準監督署の権限の強化・労働基準法違反の取り締まり及び処罰の強化のセットにより、労働環境の改善がなされるのではないでしょうか。