教員の労働時間を減らして教育の質を高めるためには、もっと分業を推し進めて教員が授業にエネルギーを集中できるようにするべきかもしれない。
投稿日:2016年08月03日
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教員の本業は授業なのだから、授業以外の教員でなくても出来ることはもっと分業するべきだと考える。教員の労働環境を改善すれば、教育の質も改善できる。教える側にも余裕が必要だ。
- 日本の教員は労働時間が長く、授業以外の事務処理や部活動、進路指導、生徒指導、保護者への対応もしなければならない。教員が何でも屋と化してしまっている。これでは教員の労働時間はどうしても長くなってしまうし、本業である授業や教材研究にエネルギーを集中することが出来ない。
- 教育の質を高めるためにも、もっと分業を推し進め、教員でなくても可能な仕事は無くしていくか、事務処理などを専門に行う人を別口で雇ってそちらに任せてしまうべきだと考える。余計な仕事が外部に切り出されれば教員は授業や教材研究にエネルギーを集中できる。良い教育のためには、教える側にもそれなりに余裕が必要。
日本の教員の労働時間は他国と比べても労働基準法の規定と比べても長い。おまけに授業や教材研究以外の仕事も多く、教科指導に専念できない。労働環境が悪いままでは優秀な人材など来るわけがない。
まず、日本の教員の労働時間は他国と比べても、労働基準法の規定(週40時間)と比べても長いです。特集 : 子ども応援便りには「図表で見る教育2015年版」に掲載されている各種データ(教員の労働時間や教育機関に対する財政支出のGDP比など)がグラフ化して掲載されていますが、日本の中学校教員の平均労働時間は1週間あたり53.9時間に及び、OECD平均の38.3時間を大幅に上回り、さらには労働基準法の規定である「週40時間」をも上回っています。義務教育の段階で労働基準法が守られていない実情を子どもたちに教育しても仕方ないと思うのですが。
ところが、日本の中学校教員の1週間あたりの授業時間は17.7時間で、これはOECD平均(19.3時間)を下回っています。放課後の補習など、カウントされない授業も確かに存在します。しかしそれを差し引いても、日本の教員は授業以外の部分の労働時間が長いのです。課外活動(部活動)が7.7時間(OECD平均は2.9時間)、事務処理は5.5時間(OECD平均は2.1時間)です。
部活や事務処理以外にも、進路指導や保護者への対応、生徒指導、学校の内外で起きた問題への対応もあります。そしてそれらは、専門の処理要員が用意されているわけではなく、大体は教員がやることになります。教員が何でも屋と化してしまうと、本業である授業や教材研究にエネルギーを集中することが出来ません。
また、教員に求められる能力があまりにも多岐にわたってしまい、「こんなに仕事が多岐にわたるのか。だったら教員は止めておこう」となる学生が増加するでしょう。労働条件の悪さも相まって、教員という職業の魅力はガタ落ちです。労働条件を改善し、教員が授業と教材研究にエネルギーを集中できる環境を早急に整備しなければ、教員志望者が減り、優秀な人も来なくなる恐れがあります。
分業を推し進め、教員が授業と教材研究に専念できるような環境が必要。教員でなくても可能な仕事はどんどん外部に切り出してしまうべき。そうすれば教員の労働環境は改善され、教育の質も良くなるはずだ。
教育の質を改善するためには、教える側の質の改善も必要になってきます。そのためには、教える側にそれなりの余裕がなくてはなりません。教員の労働環境の改善は急務です。教員の労働環境を改善するためには、現在教員が丸抱えしている仕事のうち、教員でなくても可能な仕事(授業と教材研究以外)を出来る限り外部に切り出し、教員が授業と教材研究に専念できる環境を整備する必要があると考えます。教員でなくても可能な仕事については、それを処理するための人員を別途雇用し、もっと分業を推し進める必要があるでしょう。
日本の教育機関に対する財政支出はGDP比3.5%にとどまり、これはOECD加盟の34カ国中で最下位となっています(OECD各国平均は対GDP比4.7%)。日本が資源小国である以上、教育によって優秀な人材を育成しなければ、いずれ国が立ちゆかなくなる可能性があります。良い教育のためには、教える側にもそれなりの余裕が必要です。教員の労働条件が改善されれば、教員を目指す優秀な人材が増え、子どもたちに良い教育を施すことができるようになるのではないでしょうか。
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