「いつでも限界ギリギリ出力での運転」はできない。余力は緊急対処のために残しておくべきものだ。

日本では通常業務を残業で処理させることもありますが、これはおかしいと思います。本来は労働基準法にある「週40時間労働」を守らなければならないのです。

瞬間最大出力と常用出力は違う。瞬間最大出力でずっと運転できるわけがない!!

  • 50メートル競走を全力で駆け抜けるスピードは瞬間最大出力。だがそのペースで42.195キロフルマラソンを走破できるわけじゃない。仕事だって同じだ。
  • 労働基準法は労働者の権利を守るために存在する。労働基準法総則にも、「ここで定めているのは最低条件であるから、労働関係当事者は労働条件を向上させるように努めなければならない。労働条件を悪化させるなどもってのほか。」みたいな感じのことが書いてある。
  • 長時間労働は過去の悪習。短時間で高い成果を出せばそれでいいではないか。人間休まないと働き続けることはできない。休養は大事である!!

50メートル競走と42.195キロフルマラソン。納期直前の緊急事態と日常のごく普通な業務進行。瞬間最大出力と常用出力。

日常業務を残業で処理させるのは、明らかに人員が足りていないか著しく効率が悪くなるシステムであるかのどちらかだと考えられます。そして、平常運転に残業を組み込むのは、例えれば50メートル競走を全力で駆け抜けるスピードそのままに42.195キロフルマラソンを走らせるようなものです。これが明らかな無茶振りであることはだれだってわかるかと。

平成26年度(2014年度)体力・運動能力調査によると、13歳男子の50メートル走タイム平均値は7.78秒。中学校か高校にでも行けば、50メートル8秒のスピードを出せる人はすぐに見つかることでしょう。しかし、そのスピードでフルマラソンを走れと言っても、たぶん無理です。50メートル8秒のスピードでフルマラソンを走ると、分速375メートル、時速22.5キロのペースで走り続けるわけですから、112分(2時間弱)位で42.195キロを走ることになります。しかし、フルマラソンの走破タイムは、マラソン – Wikipediaより、デニス・キプルト・キメット氏の2時間02分57秒が2016年1月現在の最速であると思われます。50メートル8秒は一般人でもそれなりの割合で出せますが、そのペースでフルマラソンを2時間で走破できれば世界記録になります。50メートル走はあくまでも瞬間最大出力で走った場合の記録です。しかし、フルマラソンは長時間力を出し続けるわけですから、瞬間最大出力で走り続けろと言ってもそれは無理な相談です。

仕事に関しても同じことがいえます。原則は労働基準法にもある「週40時間労働」です。残業は労使協定(通称サブロク協定)を締結した上で労働基準監督署に届け出を行うことで、あくまでも「例外的に」認められる…といった感じです。でなければわざわざ労使協定+届出をさせたりなどはしないでしょう。そして、残業システムは、納期が差し迫っているなどの「緊急事態」で「瞬間最大出力」を発揮させて急場を凌ぐことを想定して用意されていると考えることもできます。まあサブロク協定を締結しても残業時間の上限はきちんと定められているのですが。

そして、「瞬間最大出力」が「常用出力」になり得ないことは明らかです。そしてその「常用出力」は、労働基準法にある「週40時間労働」のはずです。長時間労働は、確実に集中力を奪います。労働時間は長けりゃいいってもんじゃありません。余力を残しておくことで、普段は余裕を持って働き、緊急事態が起きても、温存してきた余力をもって対処できます。限界ギリギリのカツカツだと、緊急事態になった時にどうしようもなくなります。

長時間労働の時代は終わった。残業せずとも通常業務は回せるようにすべき。

これまでは長時間労働が美徳とされてきたかもしれません。しかし、現在日本では少子高齢化が進行し、子育て、あるいは介護をしながら働く人も増えています。そのような場合は、長時間の残業はできません。そして、子育てや介護をしながら働く人は、今後も増えていくことは火を見るよりも明らかです。長時間労働を標準とした過去の労働システムを維持することは、もはや不可能となっています。

そうである以上、仕事はきちんと定時に終わることができるような組み立てを行う必要があります。人員も、仕事がきちんと定時に終われるくらいには増員する必要があるでしょう。残業はあくまでも例外的な定時破りとして捉えるべきです。通常業務は定時終業が当たり前だと思います。残業前提の人員配置という地点でおかしいです。労働スタイルの転換は、今ならばまだ間に合います。そして、先送りできる問題ではありません。きちんと定時に終われるように、週40時間労働を守れるようなスタイルに転換すべきです。そして、できれば労働時間をもっと短くできるシステムを考案し、行うことができればそれがベストだと思います。

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