「部活動指導員」制度化は、教員の負担を軽減する重要な一歩。引き続き、部活問題解決のために声を上げ制度を変えさせる必要はあるが。
投稿日:2017年04月01日
最終更新日:
もくじ
- 部活動関係の仕事を外部の「部活動指導員」に任せる道が開かれることは、教員の負担軽減に資する
- 「部活動指導員」制度化を終点にしてはいけない。まだまだ外部からも声を上げ、制度を改善させる必要はある。部活問題は現在進行形で、まだ終わっていない。
部活動関係の仕事を外部の「部活動指導員」に任せる道が開かれることは、教員の負担軽減に資する
「学校教育法施行規則の一部を改正する省令」(2017年3月14日公布・同年4月1日施行)により、外部からの「部活動指導員」を学校に配属できるようになり(勤務形態や報酬などについては学校設置者(自治体など)が定める)、部活動指導員は正式に部活動の顧問に就任できるようになります(教員から顧問を出さなくても良くなる)。部活動指導員が単独で大会などへの引率を行うことも(高体連などが規則を改正すれば)可能になるので、部活動指導員を確保できれば教員の負担は軽減されます。
異常というほかない。日本の教員の勤務は。 pic.twitter.com/0fh3gGnTmK
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2016年7月31日
上のグラフからも分かるように、現在の日本の教員は労働時間があまりにも長く、残業代も支給されません(その理由はこちらで解説)。この劣悪な労働環境を放置していては、優秀な人材ほど教員を目指さなくなり、教育の質が低下する可能性は十分あります。教育の質を維持向上させるためには優秀な人材が必要であり、優秀な人材を集めるためには労働環境の改善が必須なのです。
私としては、学校の部活動は最終的に廃止し、完全任意加入のスポーツクラブや地域の同好会などに移行するべきであると考えていますが、そこにたどり着くまでにはまだ時間がかかりそうなので、学校と部活の分離がなされるまでの移行期間をしのぎ切るための一手は必要であると思います。現状を少しでも改善するための一手としては、「部活動指導員」制度化は評価できると考えます(検討の余地があるところもありますが)。
「部活動指導員」制度化を終点にしてはいけない。まだまだ外部からも声を上げ、制度を改善させる必要はある。部活問題は現在進行形で、まだ終わっていない。
ただ、気をつけなければならないのは「『部活動指導員』制度化が終点ではない」という点です。部活動指導員の勤務形態や報酬などの待遇については学校設置者(自治体など)に丸投げされているので全国どこでも部活動指導員が適正な報酬を得られる保障はなく、生徒の休養日(休日)についても20年前に出された「中学生は週休2日以上、高校生も週休1日以上」という指針が未だに守られていません。
部活動というシステムを存続するにせよ廃止するにせよ、今苦しんでいる人を速やかに救うための一手は必要です。「部活動指導員」制度化は現在の部活問題を全て一気に解決する必殺魔法とはいえませんが、教員の労働環境の改善にはつながるでしょう(無賃労働の完全解消にはならないと思いますが)。
ただ、問題の完全解決はされていませんし、教員・生徒に対する「部活動をしない自由」の完全保障(部活をする・しないの選択権保障)は絶対に達成しなければなりません。そのためには、外部から「教員・生徒に『部活動をしない自由』を保障する法律を作れ」「ブラック部活をどうにかしてくれ」という声を上げ続け、制度を変えさせる必要があります。
参考リンク