生徒の授業を受ける機会・権利と生徒・教員の休みはどちらも守られなければならない。よって、部活動の大会についても改革が必要である。
投稿日:2017年05月29日
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もくじ
- 部活動の大会を平日に行うことは、生徒の「授業を受ける機会・権利」を脅かす
- 授業を受ける機会・権利の保障と休日の確保を両立するためには、現在のシステムの抜本的改革が必要
部活動の大会を平日に行うことは、生徒の「授業を受ける機会・権利」を脅かす
現在に至るまで日本の多くの学校には当たり前のように部活動が存在し、特に運動部や音楽系の部活は各種大会に向けて練習を積み重ねるのがセオリーでした。…その練習のために生徒や教員の休みが潰れたり、そもそも部活動を始める段階から強制加入問題が生じたり(本来なら部活動は「任意参加」=やらなくても良い活動)していますが、この記事では部活動の「大会」にスポットを当てたいと思います。
部活動の大会 平日開催の是非を問う 「授業よりも部活動優先」の危うさ(内田良) – 個人 – Yahoo!ニュースや平成29年度各競技別年間予定 – 東京都高等学校体育連盟(PDF資料)などをご覧いただければ分かる通り、部活動の大会の中には平日に開催されるものも存在します。言うまでもありませんが、部活動の大会に出場するのは現役の生徒です。そして、引率するのは多くの場合、授業をする学校の先生です。
平日に部活動の大会に出るとなれば、生徒と引率する先生は大会当日に授業を抜けることになります。もちろん大会に出る生徒は授業を受けられませんし、先生がいなければ大会には出ない生徒も授業を受けられません。時間割の組み替えができなければ、先生がいない時間は自習ということになります。平日に部活動の大会が行われることにより、生徒が有する「授業を受ける機会・権利」が脅かされているのです。…中には「授業がないぜバンザーイ」となっている生徒もいるかもしれませんが。
また、学校の本業はあくまでも生徒に授業を教えることであり、先生の本来の仕事もやはり生徒に授業を教えることです。そして、生徒が学校にいる時に頑張らなければならないことは勉強であり、すなわち授業をうけることです。本来なら部活動は「生徒の自主的・自発的活動」であり、やらなくてもいい「副業」に当たる部分(=本業たる「授業」そっちのけでやるのはマズイ部分)なのですが、このように部活動が優先される体制は問題があると言えます。
授業を受ける機会・権利の保障と休日の確保を両立するためには、現在のシステムの抜本的改革が必要
ただ、生徒及び教員に休日を保障するという視点では、現在の状況下では部活動の大会の平日開催には一定の合理性があるとも言えます。現在、部活動の大会の中には1日では終わらないものもあり、大会を平日に回さなければ土日の休みが消し飛んでしまいます。まさか授業がある平日に大会出場生徒と引率した先生だけの振替休日を設定するわけにもいきませんから、休日を守るためには大会の平日開催も致し方なし、として部活動の大会を平日に開催しているところもあるかもしれません(平日にやらないと競技場などの設備が足らない、という事情もあるかもしれませんが)。
かくなる上は、生徒の「授業を受ける機会・権利」と生徒・教員の休日を両方きちんと確保する道を模索するしかありません。部活動そのものの廃止はいささか過激かもしれませんが、大会を継続するのであれば、数を減らしたり、規模を縮小するなどして大会開催に必要な日数を減らし、生徒の「授業を受ける機会・権利」と生徒・教員の休日の両方が保たれるようにする必要があります。
時間は有限の資源ですから、際限なく使うことはできません。(筆者としては部活動を学校が抱え込む現在のシステムそのものに無理があると思いますが)部活動システムを今後も維持するのであれば、生徒や教員が部活動に押しつぶされることが無いよう、大会の規模や回数などに(法的拘束力があるルールで)上限を設けたり、活動日数・時間にも(法的拘束力があるルールで)上限を設けるくらいのことは必要であると考えます。