最低賃金で1日8時間×週5日労働した時の賃金で、きちんと暮らしていけるだろうか?

最低賃金は、それで生活できる賃金である必要があります。ごく当たり前のことですが。

最低賃金でまともに暮らせるようにしなければ、ワーキングプアは無くならない

  • 東京都最低賃金を907円に引上げ | 東京労働局より、2015年10月1日以降の東京都の最低賃金は、時給907円である。これで1日8時間×週5日×4週間(≒1ヶ月)働くと、月収14万5,120円(ただしここから所得税や健康保険料が引かれる)。これで暮らせというのは少々酷ではないかと。一人でもかなりきつい。ましてや子供を育てるのは無理。
  • 一方で、東京都で生活保護を受けた場合は、生活保護費の計算方法を初心者向けに解説!あなたはいくらもらえる? | キャッシングのまとめによると、(30歳の単身世帯を想定すると)月8万4,540円+家賃になる。一見最低賃金で労働したほうが収入が高そうに見えるが、生活保護に付属する各種料金の免除措置(NHK受信料や国民年金保険料などは免除される)や、税金等を考慮すれば、実際には最低賃金で労働している方が生活は厳しいかもしれない(NHK受信料は月額1,260円(資料)・国民年金保険料は1万5,590円(資料))。
  • ワーキングプア(働く貧困層)問題を解決するためには、最低賃金を生活賃金にしなければならない。1日8時間×週5日×4週間(≒1ヶ月)の労働時間は160時間(1人月)。1ヶ月160時間労働した時に、きちんと生活出来るだけの賃金を得られるように、最低賃金を引き上げる必要があるだろう。

月額生活賃金(手取り)=(最低賃金×(8時間×5日×20日))-税金等

日本で1ヶ月生活するためには、一体いくら必要なのか?最低賃金で労働したら、きちんと生活できるのか?…残念ながら、それについての資料を私は持っていません。しかし、生活保護が「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する」ものであるため、ここでは生活保護で支給される金額を元に考察することにします。資料データは生活保護費の計算方法を初心者向けに解説!あなたはいくらもらえる? | キャッシングのまとめを用います。東京都足立区在住の30歳単身世帯を想定して計算してみましょう。

生活費の内訳は以下のとおり。

  • 食費・被服費等(生活扶助第1類費)…月40,270円
  • 光熱費等(生活扶助第2類費)…月44,270円
東京都特別区の場合は、食費や被服費、光熱費等が月額合計で8万4,540円ということになる模様。そこに家賃(上限は月額5万3,700円)がプラスされた金額が生活保護での支給額になると思われます。しめて上限13万8,240円(8万4,540円+家賃)なり。これが1ヶ月暮らすのに必要な最低金額となるでしょう。

今度は、賃金から一体どれだけの税金が持っていかれるのかを計算してみましょう。今回は税金計算機 | 所得税・住民税簡易計算機足立区の国民健康保険料を自動計算できる|足立区 国民健康保険計算機を用います。最低賃金で1日8時間×5日×4週間労働した場合は月収14万5,120円なので、税引き前年収は174万1,440円。この場合、

  • 足立区の場合は国民健康保険(社会保険料控除の対象)で年10万1,163円(月あたり8,430円)を持って行かれます。
  • 国民年金(社会保険料控除の対象)が1万5,590円×12ヶ月=18万7,080円。
  • 所得税+住民税が計6万4,100円。
もっと色々あるかもしれませんが、面倒なのでこれくらいにして、手取り年収と月収を計算します。税引き前年収174万1,440円-税金と社会保険(10万1,163円+18万7,080円+6万4,100円)=手取り年収138万9,097円。月収に直すと11万6,000円弱。(あくまで適当に計算した目安なので、正確な額を知りたい方はご自分でいろいろと調べて計算してみてください)

というわけで、東京都足立区において最低賃金で労働した場合、家賃に回せる金額は11万6,000円-8万4,540円(生活保護で支給される生活扶助)=3万1,460円になります。一方で、足立区の家賃相場は足立区の家賃相場【HOME’S】|家賃を調べる[目安・平均]なら家賃相場によれば、ワンルームアパートで5万4000円弱。あくまで平均なので、これより安い物件もあると思われますが、相場で考えれば予算オーバーと相成りました。現在の最低賃金では、生活保護水準の生活さえ怪しいのではないかと。いくら何でもこれはひどい。最低賃金が生活保障賃金になっていないとは、一体どういうことなのでしょうか。

最低賃金をもっと引き上げて、生活保障賃金にしなければならない

最低賃金でまともに労働したら、生活に困窮する可能性が高い。それが日本の現実ということでしょうか。いくらなんでもあんまりです。非正規労働者が増えた今、最低賃金は、生活保障賃金であることが求められているのです。国家に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する」義務があるというのであれば、最低賃金も「健康で文化的な最低限度の生活」プラスαにしなければなりません(生活保護が「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する」ものなので、最低賃金はそれにプラスαして、労働意欲を引き出す必要があります)。

「最低賃金を引き上げたら会社が潰れる」とか、「労働基準法を厳守したら会社が潰れて従業員も困る」とかいう意見もあるかもしれません。しかし、だからといって最低賃金を生活保障賃金にすることを諦めてはいけません。中小零細企業については、減税するとかの支援措置を取ればいいでしょう。「労働基準法を厳守したら会社が潰れて従業員も困る」という意見は、ブラック企業を合理化しようとする、取るに足らない悪人の戯れ言に過ぎません。労働者を守るためにも、早急に最低賃金を生活保障賃金にして、ワーキングプア問題を解決することが、今求められているのではないでしょうか。

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