時間とお金は両方が揃わなければ意味がない。過労死者を出さないためにも経済成長のためにも、時間あたりの賃金を引き上げて個人の時間をしっかり確保する必要がある。

お金だけあっても時間がなければ、お金を思うように使うことは出来ません。また、時間だけあってもお金がなければ出来ることは自ずと制約されます。お金と時間はどちらかを完全に犠牲にしてどちらかを手に入れるものではなく、両方を使えるようにしなければならないものです。

もくじ

  • お金がなければ使うことは出来ないが、お金を使うためには時間が必要。長時間労働が消費を妨げ、経済成長を妨げている。
  • 長時間労働は身体にとっても社会にとっても劇薬である。個人が時間とお金の両方を持てるようにしなければ、経済は成長しないし過労死も無くならない。

お金がなければ使うことは出来ないが、お金を使うためには時間が必要。長時間労働が消費を妨げ、経済成長を妨げている。

「個人消費が伸び悩んでいるから経済が成長しない」と言われることがままあります。さて、個人が経済活動における消費をする(お金を使う)ためには、以下の2つのものが必要です。

  • お金
  • 時間

消費のためには、「お金」は絶対に必要です。いくら何でも存在しないお金を使うことは出来ません(自動車や家などの高額なものを買うときや、学費などを後払いにしたい場合などはローンを組みますが)。そして、お金を得るために長時間働いてきた人、また現在進行形で働いている人も多いかと思います。

しかし、「お金」だけではまだ足りません。「時間」もまた消費のためには必要不可欠です。例えばゴルフが好きな人がいたとしましょう。その人がゴルフをするための時間とお金の両方を持っていれば、おそらくゴルフの道具を買い揃え、休みの日など時間がある時にゴルフ場で好きなだけゴルフを楽しむはずです。

しかし、彼が「お金」はあっても「時間」がない人(例:長時間労働の会社に勤めている人)だった場合は、道具を買い揃えることは理論上可能だとしても、ゴルフを楽しむ時間はありません。これでは「どうせ使わないからゴルフセットは買わなくていいや」となってしまいますし、ゴルフ場も入場料を得ることは出来ません。ゴルフ以外の趣味でも同様なことがいえます。

お金だけあっても時間がなければ個人消費が冷え込み、経済が成長しないわけです。そして、個人から「時間」を奪っている原因である「長時間労働」の問題を解決しなければ、個人消費を活性化させることは出来ません。長時間労働が個人の消費を妨げ、ひいては経済成長をも妨げています。

長時間労働は身体にとっても社会にとっても劇薬である。個人が時間とお金の両方を持てるようにしなければ、経済は成長しないし過労死も無くならない。

これまでの日本はたくさん働くことで経済成長を目指してきました。当時の人達の多大なる努力によって高度経済成長期は実現され、一時はGDP世界第2位の座をも勝ち取りました。しかしバブルも崩壊し、それ以降「失われた20年」と呼ばれる低迷期に突入してしまいました。若者は将来に希望を抱けなくなり、GDP世界第2位の座も中国に奪われ、ブラック企業から逃げようにも逃げにくい世の中になってしまったのです。

せめて高度経済成長期が、どんなに遅くともバブル経済が終焉を迎えた後すぐに長時間労働からの脱却が図られ、個人がお金と時間の両方を持てる世の中が作られていれば、日本にはもう少し違う未来があったのかもしれません。個人がお金と時間の両方を持ち、好きなことに潤沢な時間とお金を使えるような世界が作られていれば、もう少し未来に希望を持てたかもしれません。

過去の失敗を悔やんでも仕方がありませんが、人を過労死させ、されに個人消費を妨げ、ひいては経済成長の妨げともなる「長時間労働」からの脱却は、今からでも行い実現させねばなりません。1日8時間以内、週40時間以内の労働でそれなりに豊かな生活が出来るような時間あたりの賃金を設定し、時間あたりの生産性を高める必要があります。「楽すること=悪」という価値観も火葬し、「楽に・短時間で・豊かな暮らし」を目指すべきなのです。

個人が時間とお金の両方を潤沢に持つことが出来るようになれば、各自興味がある分野に時間とお金を注ぎ込み、何かを楽しむことが出来るようになります。また、時間とお金に余裕があれば心と体にも余裕が生まれるので、その分良い仕事を出来るようになるでしょう。長時間労働の解消と、個人の手に時間とお金の両方を取り戻すことは、個人にとっても社会全体にとっても良い循環を生み出すはずです。これ以上過労死する人が出る前に、すぐにでも長時間労働脱却のための改革に取り掛かるべきではないでしょうか。

参考リンク

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