何らかの権利に制約をかけるならば、その代償として権利を制限される側の人には何らかの特権が与えられなければならない。公平性を確保するために。

労働基本権はほとんどの労働者に認められていますし、それ以外にも人間は様々な権利を持っています。ときには何らかの事情で権利に制約をかけられることもありますが、その場合は権利を制限される側の人に何らかの特権を付与するなどの手段で公平性を保つ必要があります。

もくじ

  • ただ単に権利を制限するだけでは不平等だ。未成年でも公務員でも、人間である限り権利はある。
  • 権利に制限をかけるなら、公平性を保つためにはそれによる不利益を相殺できるような特権が必要だ。

ただ単に権利を制限するだけでは不平等だ。未成年でも公務員でも、人間である限り権利はある。

現代を生きる人間は、様々な権利を持っています。例えば「人権」は全ての人間に認められた当然の権利ですし、日本の労働者には「労働基本権」があります。これ以外にも様々な権利がありますね。

しかし、それらの権利は時に制限されることがあります。例えば未成年の場合は、様々な法律行為(契約の締結など)を行う場合には法定代理人(親など)の同意が必要になります。労働基本権についても、公務員の場合はそれの一部が制限されます。一般企業でも、副業禁止規定などで就業時間外の従業員の副業を禁止していることがあります。

「未成年は保護しなければならない」「公務員がストライキをしたら社会は麻痺する」「本業に専念させるためには副業禁止が必要」など、権利を制限する場合には、往々にしてそれを合理化する何かしらの理由が存在します。確かに未成年は未熟な面があるとされますし、公務員が一斉にストライキを起こせば役所が麻痺して困窮する人もいます。

ただ、ここで忘れてはならないことは、「人間は誰もが平等に権利を持っている」という点です。日本国憲法でも「国民は法の下に平等である」と定めており、どのような理由があれど差別が発生してはマズイのです。何の理由もないのに国民全員に認められるはずの権利が特定の人物(集団)には認められない、というのは平等ではありません。犯罪行為に対する罰として権利を剥奪するならともかく、何の犯罪もしていない人間に対して差別的取扱い(他の人には認められている権利を認めない、など)をするのは問題です。

権利に制限をかけるなら、公平性を保つためにはそれによる不利益を相殺できるような特権が必要だ。

どうしても差別的取扱いをしてしまうことを避けられないのであれば、差別的取扱いで生じる不利益を相殺できるような特権を付与するなどの手段で不公平を是正するべきです。不公平を是正する何らかの措置がなければ、憲法で言う「法の下の平等」が形骸化してしまいます。実際、一部ではすでに権利を制限する代償として何らかの特権を付与する運用が行われています。

例えば未成年の場合は様々な権利が制限されますが、その代わり…と言っては何ですが、様々な特権(法定代理人の同意なしに行った契約は取り消せる、犯罪をしても少年法で守られる、etc.)があります。「権利は制限するけどその代わりに責任も緩めてバランスをとるよ」といったところでしょうか。批判されることが多い少年法も、撤廃してしまえば「権利は成人より少ないのに責任は大人並み」の人間の集団が生まれます。流石にこれは不平等です。責任を取らされるなら、その分の権利はあってしかるべきです。

公務員の場合も、労働基本権が制限される代わりに人事院(人事委員会)などの機関が給与勧告などを行い、民間企業の従業員に対して待遇が不利にならないような仕組みになっています。「権利は制限するけどそれで不利にならないようなシステムを用意するから勘弁してね」といった感じでしょう。これらの例のように、制限される権利に見合った特権があるならば公平性はそれなりに保たれるでしょう。

また、会社の副業禁止規定についても、言い換えれば「就業時間外の従業員の時間の使い方の制限」であり、つまりは従業員が持つ権利の制限です。サブロク協定も見方によっては「週40時間を超えて従業員を働かせる道を開く規定」=「従業員の自由を余計に制限するもの」ですから、こちらについても従業員側に何らかの特権(例:法定休日は週2日以上、通常賃金は最低賃金の4倍以上、絶対にリストラされない、残業代は通常賃金の5倍以上、etc.)があって然るべきではないでしょうか。権利を制限するなら、それを埋め合わせることが出来る特権が必要であると考えます。

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